YEデジタルの「飼料残量見える化」ソリューション、宮崎の養鶏関連輸送業者が餌切れによる突発注文ゼロ実現

YEデジタルの「飼料残量見える化」ソリューション、宮崎の養鶏関連輸送業者が餌切れによる突発注文ゼロ実現

専用端末で関係者が迅速に確認可能、畜産のスマート化見込む

安川電機グループのYE DIGITAL(YEデジタル)は5月10日、飼料タンクの残量管理を効率化するソリューション「Milfee(ミルフィー)」を導入している養鶏関連輸送業者のLCトランス(宮崎県都城市)が、宮崎県内の契約農家など12農場で運用を開始した2022年9月以来、餌切れによる突発注文ゼロを実現していると発表した。

「Milfee」は農場に設置されている飼料タンクの蓋の内側に専用端末を取り付けることで、クラウド上で畜産農家、飼料メーカー、飼料輸送業者それぞれが、飼料残量を確認できるようになる。飼料残量の巡回確認が不要になる上、突発発注の削減、飼料製造・輸送の効率化など、畜産のスマート化を実現することが可能と説明している。


「Milfee」ソリューションイメージ(上の2枚はYEデジタル提供)

LCトランスは、ブロイラー業界におけるリーディングカンパニーのエビス商事(宮崎県都城市)のグループ企業で、主に家畜と家畜飼料の輸送を担っている。トラックドライバーの長時間労働規制が強化される「2024年問題」を克服する先進的な取り組みにもつながる「養鶏事業にかかわるDX推進」を目標に掲げ、取り組みを継続している。


飼料配送するバルク車(画像提供:LCトランス)

飼料メーカー・輸送業者にとって、農家での餌切れ、突発注文などが頻発すると、メーカーは飼料を計画的に製造できず、輸送も効率的に予定が立てられないといった課題に直面していた。

そこで、LCトランスは課題の解決方法を探るため、2018年にはセンサーを用いた飼料残量管理を試みたが、実用化には至らなかった。その後も決定的な手段が見つからず、餌切れによる突発注文によって起きるイレギュラーの輸送は5年来の問題となっていた。


養鶏場(画像提供:LCトランス)

21年9月に「Milfee」の検証機を3農場の9タンクに設置。操作の手順や実用に十分な精度かどうかを見極めてもらったところ、餌切れ・突発注文を「Milfee」で解決できると評価を得られたため、22年9月に本格導入。宮崎県内の契約農家など12農場の53タンクに採用した。

導入後、これまで月に数回発生していた餌切れによる突発注文をゼロに抑えられたほか、ソリューションを通じて農家との飼料配送日の調整が可能となり、効率的な配送を実現できた上、配送コストも低減しているという。

これまで人手に頼ってきた業務をIT技術で省力化することにより、飼料高騰や市況に左右されない、安定した生産基盤を整備できると期待。将来は売り上げと収益の向上につなげられると見込む。

(藤原秀行)

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