JLL調査、「竣工時に高稼働続く」
JLL(ジョーンズ ラング ラサール)が5月22日発表した福岡圏の大規模物流施設市場動向の調査結果によると、2023年第1四半期(1~3月)末の空室率は2.2%で、3年3カ月ぶりにゼロから上昇した前期(22年10~12月)から0.9ポイント上がった。2四半期連続で上昇した。
一方、ネットアブゾープション(吸収需要)はEC・小売事業者、物流企業の需要が堅調で、3万3000㎡に上った。新規供給は1棟・4万8000㎡で、ストックは前期比4%増の109万㎡となった。
新規供給の影響で空室率が上昇しているものの、JLLは「複数の開発案件が進んでいるが、順調にテナント誘致が進んでおり旺盛な需要がうかがえる」と指摘。前向きな見方を示した。
期末の1坪当たり月額賃料(共益費込み)は3306円で、前年比横ばい、前年比では3.1%アップした。JLLは「新築物件の高い賃料水準が既存物件にも波及しながら上昇が続いている」との見方を維持した。
今後については「空室のある物件は少なく、新規物件も竣工時点で高稼働となる状況が続いている。大型の開発案件が進んでおり将来的には需給緩和が予想されるが、既存の物流施設集積地に供給される新規物件は旺盛な需要により、竣工時にはほぼ満床になると見込まれる。賃料水準は既存物件の低廉な賃料の上昇により全体的な上昇傾向が続くと予想される」と展望。需給が引き続きひっ迫しているとの見方を示した。
新規供給の動向は「従来から物件が供給されていた福岡IC周辺や(佐賀の)鳥栖エリア以外にも古賀市や筑紫野市、朝倉市などにも見られ、東京圏や大阪圏と同様に開発エリアの拡大が続いている」と分析した。
調査は福岡、佐賀の両県で2000年以降に竣工した延床面積3万㎡以上の物件が対象。
(JLLプレスリリースより引用)
(藤原秀行)