荷台からスムーズにデバンニング、毎時最大750ケース以上処理可能なデパレシステムも
川崎重工業は6月14日、神戸市西区の西神戸工場内に構えている「西神戸ショールーム」で、物流業界向けのロボットソリューションに関する内覧会を開催した。
既に販売を受け付けている、コンテナに積まれた段ボールケースをスムーズに取り下ろせるデバンニングロボット「Vambo(バンボ)」、商品のマスターデータなしでパレットからのケース荷降ろしを自動化できるデパレタイズソリューションなどをお披露目した。
川崎重工は人手不足が深刻化する物流業界で自動化・省力化を加速させるためのロボットシステム開発を進めており、「一番大変な作業を自動化する」との狙いの下、2019年12月にデバンニングロボットの開発に着手。Vamboは今年3月以降、ユーザーの現場で実運用をスタート、改良を重ねている。デパレタイズソリューションは今年4月、初号機で正式に受注した。
Vamboは川崎重工製の中型汎用ロボットと中西金属工業製のAGV(無人搬送ロボット)を組み合わせ、川崎重工が開発した高速・高精度の3次元ビジョンシステムとAIを連動させてケースの大きさや傾き、ずれなどを自動的に認識、吸着ハンドでケースをつかんで取り降ろす。1時間当たり最大600個を処理できる。
今後はケースに収められていないタイヤなどの商品を安全にデパレタイズしたり、段ボールの開梱を自動化したりといった様々な物流自動化のニーズに対応していく構想だ。
内覧会では、Vamboが自動でコンテナ内まで進入し、ケースを2個ずつデバンニングし、AGVと連動して伸縮するコンベアにケースを乗せ、パレタイズロボットまで運搬する一連の流れを公開した。Vamboはリフタでコンテナの高さに合わせて高さを変えられる。基本的に2個ずつデバンニングしており、標準的なコンテナであれば2時間で作業を終えられることを想定している。
ケースのサイズを自動で把握し、吸着ハンドで取り出してコンベアへ自動で乗せる
一方、デパレタイズソリューションは標準的なシステム構成で、1時間当たり最大750ケース以上の高速処理が可能と見込む。川崎重工製のアームロボットに3次元AIビジョンなどを組み合わせており、作業スピードの速さに加えて他のデパレタイズシステムより安価に準備できる点が強みという。
ショールーム内ではこのほか、産業用として重いビールケースやプラスチックケースを円滑にピッキングできるロボット、遠隔操作で車体の塗装ができるロボットなどのデモを公開した。
(藤原秀行)