河野デジタル相、ドローン物流後押しへ一段の規制改革に意欲

河野デジタル相、ドローン物流後押しへ一段の規制改革に意欲

シンポジウムで講演、「人が人に寄り添う豊かな社会」実現の手段と重視

河野太郎デジタル相は7月7日、東京都内で開かれた「第2回スマート物流シンポジウム」に出席し、「デジタルの力で実現する地方発の豊かな社会づくり」のタイトルで講演した。

河野氏は、人口減少に直面する地方で物流網を維持するためにドローン活用を目指す動きが広がっていることに触れ、デジタル庁として関係省庁と連携しながら、ドローン物流を後押しするための一段の規制改革を図ることに意欲を見せた。


講演する河野デジタル相

河野氏は「これからの日本の国を考えると、人口減少と高齢化が進んでいる地域にどうデジタルの技術を使って対応していくかは大きな話。関東圏でも(買い物難民などの)悩みを抱えている地域はある。日本全体の普遍的な問題だと思っている」と説明。

「人間はこれから人間がやらなければいけないものに集中していかないといけない。人間がやらなくてもいいものはAIやロボット、コンピューター、ドローンや自動運転にお任せする(ことが大事)。人が人に寄り添う温かい社会を通るのがゴールなので、そのための手段の1つがデジタル化ということは皆さんと共有して、前に進めていかないといけない」と強調した。

その上で、トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」に触れ「ドローンや自動運転といった技術を活用した物流はこれからとても大切になってくると思っている」と指摘した。

自身が菅義偉内閣で規制改革担当相を務めていた当時を振り返り、ドローンは山の稜線に沿って飛行しないといけないといったルールの見直しに動いたことを紹介した上で「いろんなところから話を聞くと、規制改革をやったかもしれないがまた元に戻っているぞ、ということを聞くようになった」と説明。

「国土交通省といろいろ議論をすると(ドローンが有人地帯上空で目視外の遠距離を自律飛行する)『レベル4』に移行してもらえばガンガン飛ばせると説明があるが、レベル4に移行するのも結構大変だし、機体を飛ばす側からすれば、レベル4で飛ばせる機体がほとんどない中で(無人地帯上空を飛ぶ)『レベル3』でやらなきゃいけないからやっているが、規制が難しいというので、この間から斉藤鉄夫国交大臣にこういう話がありますと申し上げている。斉藤大臣も国交省に対してもう1回ドローンの規制改革をやらないといけないという話をしてくださっている」と明らかにした。

また、マイナンバーカードで不具合が頻発していることを謝罪した上で「リスクとベネフィットを考えながら、いかにリスクを小さくしてベネフィットを最大化するか、そしてより日本の社会をより便利でより快適で、より豊かにしていく努力を止めてはいけない」と語り、マイナンバーカードの例にも引き合いに出しながら、デジタル化や先進技術導入の必要性を力説した。

併せて、人口減少が進む地方で鉄道やバスなど公共交通の維持が難しくなっていることを挙げ、「ドローンも含めてこれからのモビリティをどうしていくのかを検討するモビリティワーキングチームを立ち上げており、国交省はじめ霞が関、民間事業者と連携しながら(実用化を)前に進めていきたい」と語った。

(藤原秀行)

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