労組と36協定再締結で合意
スイスポートジャパンは11月29日、同社の労働組合が12月以降、一切の時間外労働を拒否すると通告してきた件について、労使間で協議を進めてきた結果、12月1日付で長時間労働の例外などを労使間で定める「時間外労働・休日労働に関する協定(36協定)」を再締結することで合意に達したと発表した。
労組は11月15日、新型コロナウイルス禍からの回復による訪日外国人旅行者の増加などを受け、長時間労働が続いており改善が見られないことを理由に、36協定を破棄する意向を経営側に事前通知した。
事態を重く見た国土交通省の航空局は同社経営側に対し、労組との協議を継続するとともに、仮に労働基準法に反する疑いがあれば、労働基準監督署の指導に従い早急に是正することや、海外航空会社の業務引き受けに支障が出るのが避けられない場合は運航への影響を最小限にとどめるよう努めることなどを指導していた。
労使交渉の結果、長時間労働改善へ業務量を適正化するため一部業務を同業他社に引き受けてもらうことなどを経営側が示した点を評価、組合は12月以降の時間外労働拒否の方針を撤回した。
同社の吉田一成社長CEO(最高経営責任者)は11月29日、ホームページでコメントを発表し、「関係者の皆様にご心配とご迷惑をお掛けいたしましたことに深くおわび申し上げます」と謝罪。「今後は、労使共同での適切かつ厳格な労働時間管理や、長時間労働を生み出さない受注体制の構築などにより再発防止に取り組んでまいります」と強調した。
また、併せてスイスポートジャパン労働組合の新城正樹執行委員長も同社ホームページで声明を出し、「今回、36協定破棄という大きな影響を生み出しかねない方策をとらざるを得なかったことに関しては、組合としても苦渋の選択でした。しかしながら、会社との誠意ある協議を重ねる中で、組合としての思いが会社にしっかりと届いたことで、将来の業務量適正化の道筋が明確になり、今後も増加することが予想される航空需要に対して、会社は相応の受注で持続的成長を可能にしていくものと確信しております」との見解を示した。
(藤原秀行)