ABEJA、AIソリューションで山九の輸出入通関業務の効率向上

ABEJA、AIソリューションで山九の輸出入通関業務の効率向上

新規のHSコード採番予測で精度と速度向上

AIを活用したソリューション開発を手掛けるABEJA(アベジャ)は12月12日、山九と協業し、同社のロジスティクス・ソリューション事業が担うHSコード(輸入統計品目番号、輸出入の際に商品を分類するための番号)採番業務に関してABEJAのAIソリューションを活用、業務リソースの削減と精度向上を実現したと発表した。


(ABEJA提供)

ABEJAはDXに必要な工程をフルマネジメントサービスで請け負うデジタル版EMS(Electronics Manufacturing Service、電子機器受託製造)と称しており、顧客がデジタル版EMSを採用することで、DXに必要な全工程に対応できる最先端の「製造機械」と「製造ノウハウ」を活用できるようになると強調。

自社で開発・維持するよりも迅速な実装が叶い、最新の技術を継続的に利用できるとともに、コストダウンとリスク回避、ケイパビリティの強化を実現できるとメリットをアピールしている。

またABEJAは2018年に生成AIの一種、大規模言語モデル(LLM)の研究開発をスタートし、今年3月には「ABEJA LLM Series」をABEJA Platformに搭載、利用に際しての戦略策定やビジネスプロセスの構築など、周辺領域のサポートも含めて顧客企業に提供している。

山九の海外物流で必要不可欠となるプロセスの一つに、正確な関税額の算出があり、申告書に記載する関税額は、多くの品目でHSコードごとに定められた関税率に基づいて計算している。HSコードは、世界共通の6桁の下に各国で異なる3桁で構成され、大分類の「部」から「類」、「項」、「号」と品目を細分化して示す構造となっている。

現在、200以上の国と地域で同じルールに基づき使用されており、このHSコードの特定によって関税額が算出される。

これまで取り扱っていなかった新たな商品などには、HSコードを新規に採番する必要がある。HSコードの新規採番は、輸出入の契約書や商業請求書、製品カタログなどの情報を踏まえ、品目の外観、構造、材質、用途、機能など多岐にわたる項目を正確に掌握した上で、「部」、「類」、「項」、「号」のそれぞれに正しい番号を割り振らなければいけないため、経験の浅い新人スタッフにとっては、HSコードの候補出しや判定を担うのは極めて難易度が高い。

HSコードに関わる判断ミスは、商品に誤った関税や税金を発生させることにつながり、誤って分類した商品の関税や税金については、遡及請求が発生し、多額の罰金や罰則につながる可能性や、商品が差し押さえられたり破棄されたりすることもあるなど、会社的には大きなリスク案件。山九でもHSコードの新規採番に関連する業務の多くは、ベテランスタッフに委ねられていた。

ABEJAは、ABEJA Platformを活用し、従来は属人的に手入力で行われていた新規採番業務を効率化し、選定精度の向上も図れる「HSコード予測モデル」を構築した。

今後、山九の新規採番業務では、担当者が商品情報をシステムに入力するだけで、ABEJA Platformより新規HSコードの候補およびその概要が提示され、それらを確認した後、最適なHSコードを確定させることができるようになる。

ABEJA Platformは過去のデータを蓄積および学習しているため、取引実績において、同一の商品名や型番などが存在した場合は、該当番号が表示され、よりスピーディに選定することが可能になるという。

同時に、山九が支店ごとに管理していたデータを統一フォーマットで一元管理することで、実績や進捗、ベテランスタッフのノウハウなどの社内共有を図り、さらに本データをABEJA Platformに集約し、AIに再学習させることで、山九におけるHSコード予測モデルの精度を飛躍的に向上させられると見込む。

HSコード予測モデルにより、今後、山九は本業務に費やしていたベテランスタッフの人的リソースの効率化と精度向上、データの一元管理による情報の社内活用推進につなげられると想定している。

両社は今後、HSコード採番予測をより精緻なものにするため、ABEJA Platformに搭載されている人とAIが協調する「Human in the Loop」の仕組みを活用、学習を進める計画だ。

(藤原秀行)

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