工程の順序など、コスト抑制効果も
AIを活用した計画立案システムなどを手掛けるグリッドは2月19日、電力や海運、サプライチェーン、鉄道の4分野を対象にオペレーション最適化を支援するSaaS「ReNom APPS for Industry SaaS」の中で、サプライチェーンを対象としている「ReNom SCM」に関し、新たに多品種少量生産に対応した生産計画最適化の機能を追加すると発表した。
製造業の中でも特に流体を原材料に用いて、反応や合成といった工程を生かして製造する化学や石油、食品などのプロセス製造業では、いかに効率的に多品種少量生産を実現するかが喫緊の課題になっている。
ただ、実際には多様な製品を生産する上で扱う部品や材料が膨れ上がり、複数の段取り替え作業が生じる。さらに、複数の製品を扱っていると、需要と供給を考慮する高度な在庫管理が不可欠になるため、生産計画も複雑化してしまうのが課題だった。
そのため、「ReNom SCM」は工場の生産能力を緻密に再現し、各製品の工程納期や運転制約、設備制約などの制約条件を反映した「デジタルツイン・シミュレータ」を構築。最適化のAIによってコストを最小化した多品種少量生産対応の計画を策定できるようにしている。
(グリッド提供)
今回追加する機能は生産品種別のロットサイズ、生産順序を最適化する「生産量・生産順位計画最適化」と、複数機械による工程の順序を最適化する「⼯程計画最適化」の2種類を想定。
このうち「生産量・生産順位計画最適化」は品質や納期の条件を満たした上で、段取り替えを最小化した計画を出力する。「工程計画最適化」は製造コストを抑えながらライン稼働率を最大化し、全体の処理時間を短縮した計画を取りまとめる。
両機能を駆使することで、在庫の適切な管理と需要変化に対応した適切な生産計画作成を両立できると見込む。
グリッドの試算によれば、保有製造ライン数10、製品数100種類と仮定した場合、「ReNom SCM」を使った段取り替え最適化で年間5000万~1億円のコスト削減が可能とみている。
技術検証ではコストを最小化した計画の出力が数分以内に完了できると確認済み。グリッドは2025年3月ごろの開発完了を目指す。
(藤原秀行)