成田空港の発着枠34万回に拡大へ、インバウンド増加など対応狙い★続報

成田空港の発着枠34万回に拡大へ、インバウンド増加など対応狙い★続報

運営会社と国交省、千葉県、周辺自治体が合意

成田空港を運営する成田国際空港会社(NAA)と国土交通省、千葉県、同空港周辺9市町で構成する「成田空港に関する四者協議会」は1月24日、千葉市の県庁内で会合を開き、成田空港の発着枠を現行の年間30万回から34万回へ引き上げることで合意した。

外国人観光客の増加や貨物取り扱いの伸びに伴う航空需要拡大に対応するのが狙い。今年10月末に始まる冬のダイヤから適用する。

 
 

成田空港の発着枠を拡大するのは、年間22万回から現状まで増やすことを決めた2010年以来、15年ぶりとなる。

成田空港では2029年に滑走路の新設・延伸などで発着枠を年間50万回まで増やす計画。34万回はその前段との位置付けで、現行の設備で対応可能な上限という。

会合の後、県庁内でメディアの取材に応じたNAAの田村明比古社長は「新型コロナウイルス禍からのインバウンド回復が著しい状況なので、そう遠くない将来に(発着が)30万回を超えてしまう可能性が出てきている。会合でしっかりと騒音や環境の対策を進めてほしい、地域共生策もしっかりやってほしいとのご意見をいただいたので、われわれとしてもしっかり取り組んでいきたい」と強調した。

千葉県の熊谷俊人知事は「発着枠拡大は首都圏の航空需要を取り込み、アジアの空港競争に打ち勝っていくためにも、また周辺地域の発展のためにも必要不可欠と受け止めている。当然ながら回数増加で周辺の生活環境にも影響があるので、既に50万回化に向けて進められている騒音対策を含めた地域共生策を着実にしっかりと進めていただきたい」と語った。

国交省の平岡成哲航空局長は「国際ハブ空港としての成田空港の競争力の維持・強化を進めていく観点からも極めて重要な課題と認識している。関係機関と連携しながら環境対策などに協力していきたい」と述べた。

成田市の小泉一成市長は「34万回(への発着枠引き上げ)で落下物などの危険性も伴うことが考えられる。対策に注力していただきたい。騒音対策にもスピード感を持って取り組んでいただきたい」と要望した。

 
 

この日の会合では、成田空港周辺に企業を誘致し、職住近接の都市整備を図る「エアポートシティ(仮称)」の構想実現へ、2026年4月に計画策定などの推進主体となる「(仮称)NRTエアポートシティデザインセンター」を立ち上げることについても一致した。


会合後、取材に応じる(左から)NAA・田村社長、千葉県・熊谷知事、国交省・平岡局長、成田市・小泉市長

(藤原秀行)

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