子会社の鳥居薬品にTOB、販売網強化や生産・供給効率化図る
塩野義製薬は5月7日、日本たばこ産業(JT)の医薬事業を買収すると発表した。
JT系で東京証券取引所プライム市場に上場している鳥居薬品に塩野義がTOB(株式公開買い付け)を実施、傘下に収めるとともに、JT本体の医薬事業と米国の関連会社も塩野義が取得する。
鳥居薬品は同日、TOBに賛同するとともに株主へ応募を推奨すると発表した。
医薬事業の取得額はトータルで約1600億円の予定。人口減少や新薬開発費用の高騰など事業環境が厳しさを増す中、塩野義は鳥居薬品を最終的に完全子会社化して販売網の強化などを図る。生産や供給の効率化にもつなげたい狙いがある。
鳥居薬品は皮膚疾患や花粉症の治療薬などを軸としている一方、塩野義は感染症分野に強みを持つ。塩野義は鳥居薬品の買収で事業を強化できると見込んでいる。
JTは医薬事業から撤退し、中核のたばこ事業などに経営資源を集中する。
TOBは5月8日から6月18日まで、1株当たり6350円で実施する。鳥居薬品株式の約55%を保有しているJTはTOB自体には応募せず、TOBの成立後にあらためて塩野義に保有株式を譲渡する。塩野義は少数株主からの強制買い取り(スクイーズアウト)などを経て、今年9月をめどに完全子会社化することを目指す。
JTの医薬事業は2024年12月期の売上高が約449億円だった。塩野義は今年12月に医薬事業を取得する予定。
(藤原秀行)