28年2月竣工予定、建設・維持コスト抑制の新たなシステム適用
清水建設は7月3日、千葉県市川市で自社開発の冷蔵倉庫「(仮称)エスロジ市川Ⅱ期計画」の工事を始めたと正式発表した。
同社が工事請負ではなく、自社で企画・投資して開発する賃貸物流施設「S・LOGI(エスロジ)」シリーズの第10弾で、冷凍・冷蔵倉庫を手掛けるのは初めて。食品EC市場の伸長などで冷蔵倉庫のニーズが高まっているのに対応する。
初めての試みとして、同社が独自に開発した、コストパフォーマンスが高い冷蔵区画と構造形式を備えた新たなパネル冷蔵倉庫システムを適用する。イニシャル、ランニングの両コストを削減しながら冷蔵庫内の有効面積を増大し、事業性を高められるのがメリットと強調している。
地上4階建て、延床面積は約1万3200㎡で、竣工は2028年2月を予定している。同3月に賃貸を開始する。

既存の冷蔵倉庫は、冷却空間の造り方によって「パネル冷蔵倉庫」と「躯体冷蔵倉庫」に大きく2分類され、前者は建物内の各階に断熱パネルで覆った区画を設けて冷却空間を創出、後者は壁や床、天井に断熱材を直接施し建物内部全体を冷却空間にしている。
国土交通省は過冷却の防止と品質保持を目的に、2023年12月に倉庫業法施行規則で規定する温度帯を改正・細分化。冷蔵倉庫市場では躯体式からパネル式への移行が進みつつある。
パネル式は気密性に優れ、断熱パネルの増設で異種温度区画を細分化しやすく、マルチテナント対応に適している。半面、パネルと壁・柱・天井の間に施工・メンテナンスのための作業空間を設ける必要があり、その分倉庫面積が減少する上、庫内の一定の有効高さを維持するためには、建物の高さを増す必要がある。
躯体式は、建物の高さを増すことなく必要な倉庫容積を確保できる一方、比較的異種温度区画が少なく断熱性能のばらつきや内部結露による断熱材の劣化が課題になっている。
清水建設は建築コスト上昇が続いていることも考慮し、両方の手法が持つ利点を融合してコストパフォーマンスを追求。建物内側の冷蔵庫の躯体・クールフレームを、建物外周躯体のウォームフレームで包み込む二重の架構形式を生み出した。
ウォームフレームが地震に耐える力を備えることで、クールフレームの柱のサイズダウンや配置間隔の長スパン化が可能。加えて、構造的に独立したクールフレーム全体を大きな断熱パネルで囲むことで気密性・断熱性が高まり、冷却効率が向上するという。
同社は従来型のパネル冷蔵倉庫に比べ、最大で建物高さを12%、断熱パネル施工面積を50%、空調負荷を15%削減する一方、倉庫面積を5%増大できると見込む。

(いずれも清水建設提供)
「(仮称)エスロジ市川II期計画」のケースでは、同じ建築面積の従来型パネル冷蔵倉庫に比べ、建物高さを1.7m、断熱パネル施工面積を4500㎡、空調負荷を年間250万円超削減しつつ、倉庫面積を300㎡増大できると試算している。
同社は「(仮称)エスロジ市川Ⅱ期計画」をモデルに新規開発したパネル冷蔵倉庫システムを顧客に提案し、案件受注に結び付けていきたい考えだ。
施設概要
建設地 千葉県市川市塩浜3丁目
規 模 延床面積約13,200㎡、地上4階
構 造 鉄骨造、一部RC造
用 途 物流倉庫、事務所、駐車場
仕 様 冷凍倉庫(-25℃想定)、冷蔵倉庫(5℃想定)、常温倉庫、一部温度可変対応あり、積載荷重1.5t/㎡、有効高さ5.5m
工 期 2026年7月~2028年2月
企画・設計・施工 清水建設(株)
参 考 計画地は東京中心部まで直線距離で15km圏内かつ走行時間約30分に位置している。交通面では、国道357号線・首都高速湾岸線「千鳥町」「浦安」ICに近接している。
(藤原秀行)










