三菱電機、量子コンピューターの大規模化へ研究開発を開始

三菱電機、量子コンピューターの大規模化へ研究開発を開始

NEDO採択2件のプロジェクト通じ、物流など産業への応用を推進

三菱電機は9月17日、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募した「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業(社会課題解決に向けた量子コンピュータ次世代機開発・実証の加速)」の実施予定先として、「多量子ビット制御レーザーシステムの研究開発」および「大規模超伝導量子コンピュータのための超小型多連低雑音増幅器モジュール開発」の2件のプロジェクトが採択されたと発表した。

同社は採択を受け、量子コンピューターの大規模化に向けた研究開発を開始する。

開発成果を基に、同社は国内外の量子コンピューティング分野の研究機関と連携して実証を進め、2030年代に見込まれる100万量子ビット級の量子コンピューターの実現および実用化に貢献することを狙う。

40年以降には、データセンターなどでの活用拡大を見据えたさらなる大規模化に取り組み、より一層高度な計算能力を実現していきたい考え。

量子コンピューターは現代の計算基盤を革新し、医療・創薬、金融、物流、エネルギーなど多岐にわたる分野で、従来よりも大規模なシミュレーションや最適化を可能とする次世代技術として注目されており、実用化に向けた研究開発が進められている。

本格的な産業応用に向けては、量子コンピューターが従来型のコンピューターに対して優位性を示せる水準まで処理能力や計算精度を大幅に向上させる必要があるが、量子ビットはノイズに弱く壊れやすいため、複数を組み合わせてエラーを訂正する技術の確立が不可欠で、100万量子ビット級まで大規模化することが重要な課題となっている。

三菱電機は採択された2件のプロジェクトを通じて、中性原子型量子コンピューター、イオントラップ型量子コンピューター、超伝導型量子コンピューターの大規模化に向けた研究開発を開始する。

レーザーを用いて中性原子やイオンを制御する中性原子型、イオントラップ型量子コンピューターは同社が保有する加工機用レーザー技術やFPGA()などによる低遅延な制御技術を活用し、高出力かつ高安定なレーザーシステムを開発。

また、極低温環境でマイクロ波によって量子ビットを制御する超伝導型量子コンピューターは、同社が保有するマイクロ波IC技術を活用し、極低温で動作する超小型多連低雑音増幅器モジュールを開発する。

より多くの中性原子やイオン、超伝導型量子ビットを制御可能とすることで、各種量子コンピューターの大規模化につなげる。

各技術の開発では、国立研究開発法人産業技術総合研究所をはじめとした量子コンピューティング分野の研究機関と連携し、業界最先端のエコシステムの中で、実用化に向けた技術検証を推進する。

■NEDOに採択された研究開発プロジェクトの概要

プロジェクト名

参画機関

研究開発内容

多量子ビット制御レーザーシステムの研究開発

<代表機関>

三菱電機株式会社

<協力機関>

国立研究開発法人産業技術総合研究所 他

中性原子型およびイオントラップ型量子コンピューターの大規模化に不可欠な高出力かつ高安定なレーザーシステムの開発

大規模超伝導量子コンピュータのための超小型多連低雑音増幅器モジュール開発

<代表機関>

三菱電機株式会社

<共同研究機関>

国立研究開発法人産業技術総合研究所 他

超伝導型量子コンピューターの大規模化に不可欠な極低温で動作する超小型多連低雑音増幅器モジュールの開発

(藤原秀行)

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