【独自取材】「ナイキと経験積み重ね、物流施設事業の海外展開加速」

【独自取材】「ナイキと経験積み重ね、物流施設事業の海外展開加速」

アッカ・インターナショナル加藤代表が戦略的提携の成果獲得へ積極姿勢

大和ハウス工業傘下でEC事業者向けフルフィルメント・サービスを展開しているアッカ・インターナショナルの加藤大和代表取締役は2月3日、大和ハウスグループの物流施設開発に関する方針説明会の後、ロジビズ・オンラインの取材に応じた。

加藤氏は大和ハウスグループと米スポーツ用品大手ナイキが物流現場の効率化で2019年10月に戦略的業務提携を締結したことに関し、日本国内に限らずグローバル規模でナイキの物流効率化に貢献していく考えを強調。

ナイキとの提携で物流ロボットを活用したピッキング業務の生産性向上などの経験とノウハウを積み重ね、大和ハウスグループとして物流施設事業の海外展開加速にもつなげていくことに強い意欲を示し、提携の成果獲得へ積極的な姿勢を見せた。

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説明会に出席した加藤氏

「物流施設のオフバランス化にも貢献できる」

大和ハウスとアッカ、ナイキは提携締結に先立つ19年6月、千葉県市川市でESRが開発した「ESR市川ディストリビューションセンター(DC)」内に物流拠点「The DUNK」を開設。中国の新興ロボットメーカーGEEK+(ギークプラス)の物流ロボット「EVE500」を200台以上導入して24時間体制で稼働。ナイキの直営店舗と自社サイトによる通販の双方向け商品のピッキング業務などで効率化・省人化の成果を挙げている。


「The DUNK」に投入している物流ロボット「EVE500」(大和ハウス工業提供)

加藤氏は説明会で、提携に至った経緯として、ナイキが18年から物流拠点のフルフィルメント事業に関するコンペティションを開き、大手3PL事業者ら7~8社に声掛けして選考した結果、アッカがパートナーに決まったと解説。「ナイキさんのビジネスが、箱根駅伝(における選手らから集めている商品の人気の高さ)などを見てもすぐに分かる通り、ものすごく伸びている。物流のキャパシティーも常に足りない状態のため、大和ハウスが物流施設を中心としてさまざまな取り組みをしていきたいと話し合いをしている」と説明し、物流現場の業務効率化全般を提携の対象に据えていることを明らかにした。

加藤氏は説明会後、ロジビズ・オンラインの取材に対し「ナイキさんとの提携は国内に限った話ではないので、海外でもわれわれに何ができるのかを考えていきたい。直接的に現場業務に携わる以外にも例えばコンサルティング業務といった形でご支援することもあり得るだろう。大和ハウスは海外事業拡大を打ち出しているので積極的に展開したい」と語り、ナイキのグローバルな物流をサポートすることに強い意欲を見せた。

その上で「(自社で抱える)固定資産が大き過ぎると信用格付けに影響してしまう。大和ハウスグループとして(物流施設の)オフバランス化といったファイナンスの面でもお手伝いできることはある。事業のキャッシュフロー改善にも対応はできる」と明言。外部倉庫の賃借や自社倉庫の流動化といった点で大和ハウスグループのノウハウを発揮することに自信をのぞかせた。

さらに「AGV(無人搬送車)などを用いた3PL業務はサプライチェーンのことを考えると当然海外の拠点にも入れていかないといけない」と述べ、ナイキとの提携による成果を踏まえ、日系企業に加えて海外企業にも自動化機器を活用した現場作業の効率化・省人化を働き掛けていけるよう体制を強化する姿勢を見せた。

(藤原秀行)

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