JLL調査、旺盛な需要続く
ジョーンズ ラング ラサール(JLL)が6月1日発表した2021年第1四半期(1~3月)の東京圏における物流施設市場動向の調査結果によると、賃貸施設の期末平均空室率は0・9%で、前期(20年第4四半期、10~12月)から0・7ポイント上昇した。前期比で空室率が上がったのは2四半期連続。前年同期比でも0・2ポイントのアップ。
ただ、6四半期続けて1%を割り込んでおり、湾岸エリアを中心に空室が極めて少ない状態が続いている。新型コロナウイルスの感染拡大でも先進的な物流施設への需要は旺盛な状態にあるようだ。
1~3月期の新規供給量は5棟、34万5000平方メートルで、ストックは前期比2%、前年同期比では12%拡大した。新規物件は全て内陸エリアだった。需要に関しては1~3月のネットアブゾープション(純増分)が23万5000平方メートルに及んだ。
期末の坪当たり平均月額賃料(共益費含む)は4388円で、前期から0・7%、前年同期からも0・7%上昇した。前期比で2四半期続けて上がった。JLLは「新規供給の賃料水準が上昇をけん引した」との見方を据え置いた。
需要と供給の推移(JLLプレスリリースより引用)
今後の賃貸物流施設市場に関しては「21、22年に大規模な新規供給が予定されているものの、今後も需要は堅調となると予想されることから、空室率上昇は限定的となる見通し」と展望。賃料も比較的安定して推移すると見込んでいる。
調査は東京、神奈川、千葉、埼玉の各都道府県と茨城県の南西部が対象。2000年以降に完成した延べ床面積5万平方メートル以上の先進的物流施設の稼働状況を集計した。
エリア別の空室率は、東京湾岸の「ベイエリア」(東京・大田区、江東区、横浜市、千葉県市川市など)が前期と同じ0・0%で、空室がない状態が継続。「内陸エリア」(東京都八王子市、神奈川県厚木市、千葉県柏市、埼玉県川島町など)は新規供給の影響で1・1ポイント上がって1・4%となった。
(藤原秀行)