邦船大手や造船業界団体のトップ、有識者ら参加し脱炭素の方策議論
国土交通省は4月19日、「国際海運2050年カーボンニュートラルに向けた官民協議会」の初会合を同省内で開催した。
国際海運からの温室効果ガス排出量は世界全体の約2.1%に及び、排出削減が強く求められているのに対応。協議会で関係者が一堂に介して脱炭素に向けた方策を議論し、意見を様々な政策や施策に反映させていくことを目指す。
協議会は邦船大手3社や造船業界団体のトップ、有識者らが参加。政府は国交省のほか経済産業省や資源エネルギー庁、海上保安庁の担当者が名を連ねている。
日本政府と日本船主協会は2021年10月、国際海事機関(IMO)で検討を進めている温室効果ガス削減の戦略に関する見直しの中で、2050年に国際海運のカーボンニュートラル(排出量実質ゼロ)を目標とするよう、米国や英国などと共同で提案した。
協議会はこうした目標を実現するため、国や業界団体などが情報共有と意見交換できる場として運営。今後も必要に応じて、会合を随時開催する。
国際海運のカーボンニュートラル達成へ、今後は重油から水素・アンモニアへの燃料転換を後押しする構え。協議会は技術開発の促進や必要な技能・知識を持つ船員の育成、港で安定的に水素やアンモニアを供給できるサプライチェーンの構築などが検討課題となる見通し。国交省などは、26年からアンモニア燃料船、27年から水素燃料船の実証運航をそれぞれ開始する目標を掲げている。
初会合では、出席者から欧州系の荷主企業は脱炭素への意識が高く、温室効果ガス排出削減などの要望が強いため、官民協議会で日本としての取り組みを加速させる必要があると賛同する声や、議論をオープンにして海外にも日本の脱炭素化の取り組みが進んでいることをアピールするよう訴える意見が出た。
(藤原秀行)