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【残り2回!】二代目物流社長の“アタマ”のなか(第9回)

【残り2回!】二代目物流社長の“アタマ”のなか(第9回)

運送業のリスク 日東物流・菅原拓也代表取締役

千葉県四街道市の物流企業「日東物流」の菅原拓也代表取締役によるロジビズ・オンライン独自連載。早くも残り2回となり、佳境に入ってきました。第9回は運送業が抱える様々なリスクについて、考えてみました。

企業を日々経営していく上で、周りは「どうにもならないもの」だらけですが、そこであきらめてしまうのではなく、出来ることがいろいろあると指摘します。はたしてそれは何なのか? 乞うご期待です!


菅原代表取締役(日東物流提供)

これまでのおさらいはコチラから!

「どうにもならないもの」はある程度事前に備えておく

いやー、アッという間に夏が終わり、秋の気配が深まってきましたね。

なんて、季節とはカンケーなく、今回は運送業での経営リスクについて考えてみたいと思います。

僕は、経営上起こりうる様々なリスクを、企業努力で「どうにかなるもの」と「どうにもならないもの」の2つに分類しています。

例えば、燃料の価格高騰問題。これは「どうにもならないもの」です。仕入れ価格は自社の努力で“多少”の価格交渉は出来るでしょうが、100円のものを90円には出来ません。いわばどうにもならないことです。

タイヤやベルト、ストレッチフィルムなんかの石油化学製品の値上げも同様です。これらは1企業単位でリスクコントロールできることではなく、世界中の様々な事象が重なって起きていることなのでどうにもなりません。ですから文句を言いたくなりますが、かといって文句を言っても値段は下がりません(涙)。

その他にも、法律の改訂や解釈の変更、また運送会社に求められるものの変化(料金や品質、環境対策、コンプライアンス等)も、我々ではどうすることも出来ません。

しかし、経営者として、こうしたリスク発生の可能性を認識しておく必要はあるわけで、それぞれの事象が起きた時には慌てることなく、ある程度対応出来る素地を、日ごろから作っておく必要があるのではないでしょうか?

例えば、燃料はここ10年だけを見ても、かなりの変動幅があります。つまり燃料が○○円になったら利益がどれほど落ち込むのか、ということを事前に考えて、対策を練っておくことが出来ます。

サーチャージ導入は燃料高騰に対して一番リスクコントロールしやすいですが、なかなか導入出来ませんよね。でも、○○円になったら赤字になる、または資金繰りが厳しくなる、と分かっていれば、事前に打てる策もあるはずです。


燃料高騰への対策も練っておける(イメージ)

また法律関係についても、日頃から法律改正への動きや新たな判例などをチェックしておくと良いと思います。これらは社労士さんや弁護士さんが行っている業界セミナーなんかに参加すれば、情報をもらえるのでオススメです。

これらに比べて、事故やコンプライアンスに関する行政処分、労務問題なんかは、企業努力で「どうにかなるもの」です。なぜなら企業の考え方ひとつ、やり方ひとつで、リスクは大幅に低減できるからです。

もちろん事故は、人間が運転する以上起き得るものですが、人選や指導、労働時間の管理といった様々な角度からアプローチすることで発生リスクを落とせるし、あわせて重大事故の可能性も低くすることが出来ます。コンプライアンスも100%完璧には難しくても、出来るだけ頑張ってみることで、万が一行政処分となっても処分内容を軽くすることが可能です。

いま大流行(?)の残業代未払請求なんかも、大きなリスクのひとつです。最近未払請求期間が1年延びて3年になりましたが、もうしばらくすると5年に延びる、なんて話も聞こえてきます。さらに未払訴訟が多く発生しているなかで、裁判所の見解もこれまでとは異なる判例が出たりしています。こうなると、現状の残業計算方法では将来的にリスクになっていくんじゃないかな、と考える必要があります。

ユニフォームの着替えに要する時間も、始業前であっても労働時間に含めなきゃならないようになってきましたし、労働時間の丸め(15分単位や30分単位で区切る)なんかも、この先どうなるか分かりません。

運送業の経営には、このように様々なリスクが存在しています。場合によってはニュースで取り上げられたり、社員や家族がつらい目にあったり、信用がガタ落ちになったり、商売が出来なくなったり、経営者自身の顔写真がネットに出回ったり、マスコミに追い回されたり、社会から後ろ指を差されたり・・・考えるだけでリスクだらけな気がして、嫌になってきます。

だからこそ、出来る範囲で少しずつでも、こうしたリスクを軽減する努力をし続けるべきだと思います。経営が上手くいっていても、3年後も5年後も同じやり方が通用すると考える方が不自然で、社会の変化スピードに合わせて常識や法律までも変化する現代社会では、様々な出来事に柔軟に対応していく必要があると心得た方が良さそうです。

とまぁ、いろいろ言ってきましたが、とどのつまり、「どうにもならないもの」に憤ったり、愚痴をこぼすことに時間を使ったりするよりも、「どうにかなるもの」に精力と時間を注いだ方が、よっぽど健康的な生活を送れそうだって、思いませんか~♪

(次回に続く)

日東物流twitter:@nittobutsuryu

菅原拓也氏(すがわら・たくや)
大学卒業後、大手運送会社などを経て2008年、家業である日東物流に入社。2017年9月、代表取締役に就任。コンプライアンスの徹底や健康経営の実践を通して企業体質の健全化のみならず財務体質を強化させる経営手法が評価され、千葉県の物流企業として初めて、経済産業省の認定する「健康経営優良法人」に選出されているほか、リクルート主催「GOOD ACTIONアワード」を受賞するなど、物流業界で注目を集めている。
番外ニュース:
菅原氏も頼りにしている日東物流の広報ディレクター・加藤俊祐氏が10月18日、船井総研ロジのオンラインセミナー「ロジスティクスプロバイダー経営研究会」にゲスト講師として登壇。「企業の問題だけでなく、“社会的イメージの悪さ”をはじめとする物流業界全体の問題を、広報的観点でどのように捉え、どのように考えてアプローチしていくべきかを、業界に先駆けた様々な取り組みを行い、情報を発信し続ける当社事例を基に、具体的にお話した」そうです。面白そう!

菅原氏も「情報発信の有用性を感じてもらい、業界イメージの刷新に向けて、1社でも多くの企業が広報活動に取組み、ともに情報発信していくキッカケに出来ればと思います」とコメントしています。物流における広報の在り方について、皆さんも考えてみませんか?


セミナーに登壇した加藤氏(日東物流提供)

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