ESR、九州初の物流施設開発プロジェクトが福岡・朝倉市で竣工

ESR、九州初の物流施設開発プロジェクトが福岡・朝倉市で竣工

7万㎡、契約率80%以上


ESR福岡甘木ディストリビューションセンター(左に大分自動車道、大分方面を臨む)

ESRは1月16日、福岡県朝倉市で開発を進めてきた地上3階建て、延床面積7万724㎡(2万1394坪)のマルチテナント型物流施設「ESR福岡甘木ディストリビューションセンター(DC)」が2022年12月27日、契約率80%以上で竣工したと発表した。

同社としては九州初の物流施設開発プロジェクトとなった。

大分自動車道と県道33号線沿いに位置し、大分道の甘木ICから約1.7km(車で約4分)、大分道と九州縦貫自動車道(九州自動車道)、長崎自動車道や国道3号など、九州の東西南北を結ぶ交通結節点で九州の物流の要所、鳥栖JCTから約14km(車で約14分)。

物流施設が集中する鳥栖エリアのサブマーケットと位置付けられ、九州全域への配送を網羅できるのが強み。JR博多駅、福岡空港、博多港まで車で40分圏内と陸・空・海の輸送インフラも整っており、食品配送、輸出入貨物、在庫拠点、eコマースなど幅広いニーズに対応可能。

45フィートのコンテナトラック対応の上り下り専用スロープにより2階まで直接アクセス可能で、1階はクロスドックにも対応するよう両面バースを採用。2階は雨天に影響を受けずに入出庫が可能な中央車路方式を取り入れた。

敷地内にはトラック待機場20台を備え、下りスロープの天井に遮音・遮光パネルを設けるなど周辺に配慮した対策も施している。

1階は作業効率の高い最大約6800坪のワンフロアオペレーションタイプとし、2~3階は保管効率の高いメゾネットタイプで、荷物用エレベーター8基と垂直搬送機4基を標準装備。床荷重は1階:2.0t/㎡、2-3階:1.5t/㎡、梁下有効高は1~2階:6.5m、3階:5.5~7.5m、柱ピッチは間口11m×奥行10.2mを確保。

高圧電力の提供により、ロボティクス、冷蔵冷凍、倉庫内空調など、テナント企業の多種多様なニーズに応えられるようにしている。


2階へ直接アクセス可能なスロープ式 1階は両面バースでワンフロアオペレーションタイプ


(左)2階は中央車路方式 (右)下りスロープ


2-3階はメゾネットタイプ(左)2階倉庫内の荷物用エレベーター(右)3階倉庫

基本理念「HUMAN CENTRIC DESIGN.(人を中心に考えたデザイン)」に基づき、ワーカー用の休憩ラウンジを3階に2か所設置。トイレは人感センサーに加え自動洗浄機能も完備、非接触型カードリーダーの導入や換気の重要性を考慮した設備など、新型コロナウイルスといった感染拡大防止に配慮した施策も積極的に導入した。

建物のエントランス前にスロープ設置と優先駐車スペースを確保し、館内にもバリアフリートイレなどバリアフリー設備を備え、車いすユーザーや障害を持つ人に配慮。ドライバーが使える休憩室、喫煙室、トイレ、シャワー室も完備している。

土地の記憶を残すために、2か所のエントランスホールは本計画地で採取された土を焼成して作ったレンガを使用した空間デザインを実現。以前敷地内で使用されていた井戸も移設し、植栽管理に再利用している。


3階に2か所ラウンジを設置


エントランスホール


隣接する土地を取得し普通自動車用の駐車場を325台用意

環境面は全館LED照明、トイレ・共用部の人感センサーなど環境配慮型照明システムを導入し、断熱性能の高いサンドイッチパネル、ヒートポンプ式空調、井戸水の緑地散水への活用など省エネに十分配慮した計画を作成。CASBEE Aランク、BELS45スター、ZEB認証を取得済み。

建物屋上に太陽光パネルを設置し、2MW規模の自家消費型太陽光発電所を稼働させる計画で、JQA(一般社団法人日本品質保証機構)によるグリーン電力発電設備認定も受けた後にESR独自のグリーン電力証書発行システムを通じ、環境付加価値を取引する予定。


ドライバー用の休憩室(正面)、喫煙所(奥右)トイレ、 シャワー室2基(手前右)も完備

座屈拘束ブレースを採用したS造の耐震構造で、地盤面の十分な嵩上げを行うことで豪雨による浸水被害リスクを極力抑えるなど、地震・水害にも強い施設にした。火災対策として、1階の倉庫中央部に排煙用可搬式送風機、3階倉庫屋根部に排煙用トップライトも設置する。

BCP(事業継続計画)対策として、非常用自家発電機を備え、停電時でも防災センターと一部の荷物用エレベーター、2階トラックバース前電動シャッター、トイレなどが24時間以上使用可能な保安用電源を確保。3階ラウンジには災害などで停電になった際に人的操作で自販機内の商品を搬出できる災害救援自販機を導入した。

【ESR福岡甘木ディストリビューションセンター 施設概要】
■所在地:福岡県朝倉市一木59-4
■敷地面積:40,266㎡(12,181坪) 
■延床面積:70,724㎡(21,394坪)
■構造:地上3階建 S造 耐震構造  
■用途地域:準工業地域  
■工事期間:2021年11月1日~2022年12月27日
■総投資額:約125億円  
■基本計画:ESR株式会社 武田諭・落合亮太   
■設計・施工:前田建設工業株式会社
■アクセス:
【車】 大分自動車道「甘木IC」より1.7km/大分自動車道・九州自動車道・長崎自動車道「鳥栖JCT」より14km
【電車】 甘木鉄道・西日本鉄道「甘木駅」より約2.3km 
【バス】 甘木観光バス「金川道」停留所下車徒歩3分
■久留米市へ21km/JR博多駅へ42km/福岡空港へ38km/博多港へ43km

(藤原秀行)※写真などはいずれもESR提供

物流施設/不動産カテゴリの最新記事