東京海上日動とスタンデージが小ロット対応の定温航空輸送使った日本食材輸出支援開始、第1弾は日本酒

東京海上日動とスタンデージが小ロット対応の定温航空輸送使った日本食材輸出支援開始、第1弾は日本酒

簡便な保険加入も可能、中小企業を後押し

東京海上日動火災保険と貿易業務のワンストップ支援サービス「デジトラッド」を展開しているSTANDAGE(スタンデージ)は3月20日、日本食材輸出支援の合同プロジェクトを立ち上げたと発表した。

これまで輸出に取り組めなかった全国の中小企業の輸出を支援し、日本食材の輸出促進を後押しすることを目指す。

新プロジェクトは商品を取り扱う専用ECサイトを開設し、小ロットからのスピード輸送および簡便な保険加入を提供。第1フェーズとして、定温航空便での日本酒の輸出支援に着手する。

日本酒の発注は3本から可能(サービス開始当初は6本から)といった形で、小ロット発注を可能とし、買い手側の選択肢の幅を拡大。業界で初となる小口定温航空便での「ドア to ドア」輸送を採用し、輸送は全て定温航空便を使い5~14日で完了。品質の維持に加えて、取り扱いの難しい生酒の輸出も可能にする。

中小企業が海外進出にチャレンジする際は、一度に大量の輸出をするといったリスクを取りづらく、少量単位(小ロット)での輸出から試験的に始めたいと希望するケースが相次いでいる。

ただ、小ロットのビジネスでは輸出仲介に関わる企業にとって採算が取りづらいことも多く、中小企業の海外販路開拓はハードルが高いのが現実。

両社は新たな貿易決済の仕組みに関する実証実験を共同で進めるなど、これまでにも協力関係にある。新たなプロジェクトではより対応を拡充。それぞれの有するデジタル技術とソリューションを掛け合わせ、小ロットからの輸出や海上保険手配を可能とすることで、中小企業による日本食材の輸出促進や輸出企業の裾野拡大を図ることにした。

具体的には、スタンデージが新たに開発・運営する越境ECサイトを介して、海外の飲食店が直接日本の酒造メーカーに少量発注できる仕組みを構築。買い手の海外飲食店は、多数の日本の酒造メーカーおよび銘柄から多様な商品を選択できるようになる。

また、定温航空便を用いることで貴重な生酒も品質を保ちつつタイムリーに輸出することが可能になる。

東京海上日動はAPIを活用して、スタンデージが有する貿易代行機能と自社の外航貨物海上保険のインターネット申し込みシステムを連携。海上保険の自動申し込みを含めた貿易実務の簡略化を実現し、小ロットの貨物への海上保険手配を実現する。

併せて、スタンデージは産地や酒造メーカーおよび銘柄の海外向けブランディング支援として、各都道府県や酒造メーカー、代表銘柄の歴史やストーリー、有識者によるテイスティングレポートなどをコンテンツ化し、ECサイトに掲載。東京海上日動は多くの地方自治体、地方金融機関、商工会議所と地方創生に関わる包括連携協定を結んでおり、それぞれのネットワークを活用して地方の個別企業に対し、スタンデージと連携した貿易支援サービスの提案やリスクマネジメント支援を提供する。

さらに、東京海上日動は食品輸出に必要なGAP、HACCPといった認証取得や事業効率化支援の連携先の紹介、保険の付帯サービス「海外展開支援サービス(e-ラーニングによる貿易実務の基礎講座、輸出関連調査など)」の提供も通じて、総合的に中小企業の貿易促進を図る。

ECサイトは3月中にプレオープンし、正式な運営開始は4月にそれぞれ予定している。1月末時点で、国内15を超える酒造メーカーとの契約が内定しているという。

両社はまず、日本酒の輸出を通じて、海外の飲食店への販路を確立。その後、第2フェーズは地方特産品(農水産物、加工食品、酒器など伝統工芸品)に商材を拡張し、日本の食文化・伝統を海外に送り出す総合文化発信プラットフォームの実現を目指す。

(藤原秀行)

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