ダイナミックマッププラットフォームやビーブリッジと実証実験、企業間でデータ共有に成功
自動走行や安全運転支援システム用の高精度な3次元地図データ(HDマップ)を手掛けるダイナミックマッププラットフォームとソフトバンク、AR(拡張現実)やVR(仮想現実)を担うビーブリッジは4月25日、デジタル庁から受託した「デジタルツイン構築に関する調査研究」の一環で、空間IDを活用した、配送ロボットとARナビゲーションのデータ共有に関する実証実験を2月に東京ポートシティ竹芝(東京都港区)で実施したと発表した。
空間情報(ロボットの配送地点や建物内の情報)や地図情報などのデータをにひも付け、ソフトバンクが開発した配送実証向けの自律走行ロボットや、ビーブリッジが提供するARナビゲーションアプリといった、異なる企業のシステム間でデータを共有することができた。
この仕組みで共有したデータを活用すると、地図の作成や位置情報の登録などの作業を効率化できるという。ソフトバンクの場合、従来は自律走行ロボット用の地図作成に要していた工数を最大8割程度削減できると想定。ビーブリッジはより効率良く、正確なARナビゲーションを提供できるようになるという。
今後3社は、実証実験で得られた知見を基に、様々な企業のシステム間でデータの共有を進め、自律走行ロボットをはじめとする空間IDの活用事例拡充を目指す。
空間IDは3次元空間をボックス状に切り分けることで、空間情報の基準が異なる場合でも、一意に位置を特定できる規格を指す。空間IDに静的・動的な情報を結び付ければ、空間IDをキーにして空間情報を簡易に統合・検索したり、データを高速で処理したりすることが可能になる。現在、デジタル庁と経済産業省の主導で規格標準化に向けた整備が進められている。
■実証実験の内容
(1)空間情報やロボット用の地図などを空間IDにひも付け
ソフトバンクが、ロボット用の地図を作成し、ロボットの出発地・経由地・目的地や建物の情報などの空間情報や、作成した地図の情報を空間IDにひも付け、「地図・GIS基盤システム」に登録した。
(2) 空間IDを活用した自律走行ロボットによる配送
ソフトバンクが開発した自律走行ロボット「Cuboid」を活用して、「地図・GIS基盤システム」を通して空間IDにひも付いた建物の情報を読み込むとともに、登録した出発地・経由地・目的地のデータを基にルートを設定して、物資を配送した。
(3)空間IDにひも付いたデータの共有
空間IDにひも付いた空間情報や地図の情報を、異なる企業のシステムでも活用できることを検証するため、「地図・GIS基盤システム」を通してビーブリッジにデータを共有した。
(4)共有データを活用したARナビゲーションの実施
ビーブリッジが、「地図・GIS基盤システム」を通して共有したデータを活用し、ARナビゲーションアプリで建物内の目的地までのルートや店舗情報などを表示することで、人による配送のサポートを実施した。
<各社の役割>
ダイナミックマッププラットフォーム:「地図・GIS基盤システム」の提供
ソフトバンク:自律走行ロボットの提供と自律走行システムの運用、ロボット用の地図の作成、空間情報やロボット用の地図情報の空間IDへの紐付け
ビーブリッジ:ARナビゲーションアプリの開発、ARナビゲーション用の地図の作成、ARナビゲーションに必要な情報の空間IDへの紐付け
■実証実験で使用したロボット
■ARナビゲーションの画面
(藤原秀行)※いずれもダイナミックマッププラットフォーム提供