【現地取材】全農物流、埼玉・久喜に新設した首都圏初の3温度帯倉庫を公開

【現地取材】全農物流、埼玉・久喜に新設した首都圏初の3温度帯倉庫を公開

2.8万t、冷凍・チルド商品への対応強化図る

全国農業協同組合連合会(JA全農)グループの物流企業、全農物流は4月25日、埼玉県久喜市で新たに完成した「埼玉新倉庫」(7号・8号倉庫)の内覧会を開催した。

このうち7号倉庫は全農物流として首都圏で初めて、冷凍・冷蔵(チルド)機能を持たせたのが特徴。低温と合わせて3温度帯の保管を可能にし、メーンで取り扱っているJA全農の米穀や野菜類などの保管・配送をより確実に行うとともに、今後も需要拡大が見込まれる冷凍・チルド商品への対応を強化していきたい考え。

東北自動車道の久喜ICから約2kmで、圏央道と東北道がクロスする久喜白岡JCTにも近接しているため、首都圏を含む東日本の広域をカバーできると見込む。

7号倉庫は自社で活用し、8号倉庫は賃貸用として提供する予定。併せて、本社機能の一部を現在の東京都千代田区から8号倉庫内のオフィス部分に移転。より現場に即した業務対応の実現を目指す。


7号倉庫(上)と8号倉庫の全景

7号倉庫は地上2階建て、収容能力が最大2万7991tと設計。冷凍(-25℃)、冷蔵(-5~+5℃)、低温(+10℃)の3温度帯と常温の倉庫スペースをそれぞれ備え、ドックシェルター6基も導入している。

1階と2階に低温、冷凍、冷蔵の保管スペースを配置。低温は主に玄米や大豆といった農畜産物を保管し鮮度を維持する一方、冷凍・冷蔵は様々な商品を受け入れることを念頭に置いている。

一方、8号倉庫は常温倉庫を備えている。


7号倉庫の冷凍スペース内。柱をなくすことで内部の業務効率を高めるとともに、柱との衝突・接触で保管商品に傷が付くのを回避する狙いがある


7号倉庫で米穀類を保管するスペース

冷凍・冷蔵機能を持った倉庫は西日本では神戸に構えているが、東日本では初めて。西日本の神戸倉庫運営で蓄積してきた経験を踏まえ、冷凍・冷蔵倉庫の部分は庫内の柱をなくし、冷気の流れがよどむのを抑制しているほか、ラックを設置するなど保管・作業効率の向上も図ることができる設計を採用。さらに、天井高を冷凍倉庫は6m、冷蔵倉庫は7m超をそれぞれ確保、保管効率を高めている。

低温倉庫前の搬出入エリアは大型の庇を設置し、天候が悪くてもオペレーションを継続できるよう工夫している。併せて、冷凍・冷蔵設備は環境負荷が低い自然冷媒を使った省エネルギー型のものを採用。屋根全面には太陽光発電パネルを取り付け、再生可能エネルギーで倉庫の電力を確保できるようにする。


7号倉庫の搬出入エリアには大型庇を設置


環境負荷が低い自然冷媒を使った省エネルギー型の冷凍・冷蔵設備

(藤原秀行)

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