2024年問題、上場物流企業でも3割が「対策何もしていない」

2024年問題、上場物流企業でも3割が「対策何もしていない」

ロジテック実態調査、成果が出ている企業は1割未満

人材関連サービスを手掛けるキャムコムグループの系列で3PL事業などを手掛けるロジテックは10月6日、物流企業に所属する人を対象にした、トラックドライバーの長時間労働規制強化に伴う物流現場の混乱が懸念されている「2024年問題」への対応などに関する実態調査結果を公表した。

2024年問題について「知っているし、内容も理解している」と回答したのは全体の3割弱で、所属する物流企業が「具体的な対策を実行し、成果が出ている」と答えたのは上場企業の従業員でも1割にとどまっていることが分かった。対策については「何もしていない」が企業の規模ごとに見てもそれぞれ3~4割に達した。

2024年問題が顕在化する24年4月まで残り半年を切っている中で、不安を感じさせる回答内容となった。ロジテックは「物流企業の多くが、問題には感じつつも対策する余裕がない、何を対策すべきか分からない、という悩みを抱えていることを感じられる」と指摘した。

調査は今年9月、インターネットを通じて実施、1572人が回答した。

【調査対象者について】
■事業内容

■会社の規模

■回答者の役職

「人材・人手不足」への影響懸念が根強く

2024年問題については過半数が知っていると回答したが、具体的な内容まで理解していると答えた割合は28%だった。「知っているが、内容は詳しくはない」は21%、「知らない」が12%、「聞いたことがある程度」が11%で、物流業界内でも全体的に危機感が正しく浸透しているかどうか懸念される結果となった。

2024年問題が物流業界へ及ぼす影響として、どのような点で自社の事業に影響があると思うかを尋ねたところ(複数回答可)、 「人材・人手不足」が最も多く約3割に上った。その後は「賃金や外注費などのコスト高騰」が2割程度、「人材の流出・採用の悪化」が1割程度などと続いた。ロジテックは社内のリソース不足に関する課題が表面化し、人材不足を背景としたコスト増大への懸念も根強いとの見方を示した。
い。

2024年問題で生じる影響に対して、どのようなことが求められると思うか(複数回答可)との問いに対しては、「従業員満足度を高め、離職率を下げること」が24%でトップ。「人材育成を図り、有資格者を増やすこと」(15%)、「大手の発注者との関係強化が仕事が途切れないこと」(12%)、「大手の発注者に単価交渉を行える交渉力」(同)なども目立った。

ロジテックは福利厚生やスキルアップの機会提供を通したリテンション(定着促進)施策に関する対応が上位に並んだと分析。「大手発注者との関係強化」や「単価交渉の強化」といった、より高い利益率の案件獲得に向けた動きが必要という声も見られたと説明した。

所属している企業が2024年問題への対策を講じているかどうかを聞いた結果、上場企業と非上場大企業、非上場中小企業のいずれも、「対策を計画中」と「具体的な対策を実行中」の合計が3~5割に到達。

しかし、「具体的な対策を実行し、成果が出ている」企業は、上場企業で9%、非上場大企業は4%、非上場中小企業では3%にとどまった。事業規模を問わず、成果が出ているケースが現状ではまだごくわずかしかないことを示唆した。また、「何もしていない」が3~4割に達し、にわかには信じがたい結果となった。

■上場企業

■非上場の大企業

■非上場の中小企業

回答者の所属企業での具体的な取り組みについては(複数回答可)、「労働環境の管理見直し」が2割を超え、最も多かった。「コスト・経費の削減」、「新規人材採用」、「依頼主への運賃交渉」、「人材教育」も2桁に到達した。

「デジタル化による業務自動化」、「AIなどの省人化検討」といった業務体制のDX化に取り組む企業も見られるが、まだ割合は1割以下と少なかった。

ロジテックは「影響の懸念や、対策として求められるものも、人材不足や従業員満足度の向上、離職防止といった『人』の担保を挙げる声が多く、逆を言えばIT化や新規事業などを考え検討することに至っていない様相が感じられる。経営悪化を懸念する声も1割以上あり、この問題が目に見える形で影響が出てくるのは間近に迫っており、いわば『嵐の前の静けさ』を感じさせる現状を表している」との見方を示した。

その上で「個社ごとでの解決が難しいからこそ、パートナーネットワークを作り、仕事やリソースを融通し合ったり、新しい事業収益を目指していったりすることが重要」と提唱した。

(藤原秀行)※いずれもロジテック提供

経営/業界動向カテゴリの最新記事