道路貨物運送業、1~9月の倒産は9年ぶり200件突破

道路貨物運送業、1~9月の倒産は9年ぶり200件突破

帝国データバンク調査、ドライバー不足と燃料費高騰が逆風に

帝国データバンク(TDB)は10月10日、道路貨物運送業者の倒産に関する調査結果を公表した。

トラック運送や軽自動車で宅配を手掛ける道路貨物運送業者の倒産件数は今年1~9月で220件に上り、前年同期の169件を大幅に上回った。9月時点で200件を超えるのは、軽油価格が大幅に上昇した2014年(212件)以来、9年ぶり。

TDBはこのペースが年末で続いたと仮定した場合、年間の倒産件数は08年のリーマンショック後の混乱以来、14年ぶりに300件を超える可能性があるとみている。

TDBは倒産増加の主な要因として「ドライバー不足」と「燃料費高騰」を指摘。23年の「人手不足倒産」(1~9月、177件)を業種別に細かく見ると、道路貨物運送は全業種で最も多い28件だった。

新たなドライバーを獲得できずに経営が悪化したケースのほか、自社ドライバーの離職・退職による倒産も目立っているという。また、2023年の「物価高倒産」(1~9月、553件)を見ても、道路貨物運送は82件と、やはり業種別で最多だった。このうち77件が燃料費や光熱費など「エネルギーコスト」に起因する倒産で、軽油価格が08年以来15年ぶりの160円台(9月時点)に達するなど、業務上避けられないエネルギーコストの増加が収益性を悪化させたケースが多く見られたという。

TDBは7月に実施した調査で、「運輸・倉庫業」はコストが100円の上昇したのに対して26.2円しか請負価格に反映できていないことが分かった点に言及。「賃上げへの理解が進みつつあるが、燃料高騰分や人件費上昇分の転嫁が進まない中小規模の運送企業が、今後さらなるコストアップや厳しい価格競争に耐えきれず、倒産に至るケースが増加しかねない」と警戒している。

(藤原秀行)※いずれもTDB提供

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