作業資格を相互承認、訓練時間短縮図る
全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)は11月24日、少子高齢化の環境下でも空港グランドハンドリング(地上支援)業務を持続できるよう、効率化で協力すると発表した。
両社間の競争は維持した上で、航空業界全体の生産性向上に資する業務の標準化やシステム・端末の共有化の推進、施設の共有化、人材の適正配置などを図る。
グランドハンドリング業務のイメージ
地方空港のグランドハンドリング事業者の効率的な人員体制を整える取り組みの一環として、6月に国土交通省が公表した「空港業務の持続的発展に向けたビジョン」を踏まえ、両社はそれぞれの委託先が同一グランドハンドリング事業者のランプハンドリング作業(飛行機の地上移動や、貨物・手荷物を搭降載・搬送する業務など)に関し、必要となる一部の各社ごとの作業資格について、相互に承認する仕組みづくりを検討。運用を2024年4月に始める予定。
ランプハンドリングの作業資格は現状、航空会社ごとに定めており、同種の作業でも個社ごとに資格を取得することが必要で、訓練を行う必要がある。
作業資格を両社が相互に承認することで、ANAかJALのどちらかの訓練を終了し資格を取得すれば、両社の作業に従事できるようにし、ANAとJAL双方の便をハンドリングする事業者における訓練に必要な日数の削減などの効率化を促進、業務負荷を減らせると見込む。
【作業資格の相互承認スキームイメージ】
◆現状
同じ作業内容でも、ANA資格、JAL資格の訓練が必要であり、両社の作業に従事できる資格者の養成には時間を要する。訓練時間の確保などが課題に挙げられている。
◆今後
ANA・JALどちらかの作業資格取得に向けた訓練を実施することで、どちらの作業資格も取得できるため、訓練期間をこれまでより大幅に短縮することが可能になる。
■委託先グランドハンドリング事業者が同じ空港
利尻、根室中標津、函館、秋田、仙台、新潟、岡山、徳島、高知、鹿児島
(藤原秀行)※いずれもプレスリリースより引用