「レベル3.5」飛行を実証
セイノーホールディングス(HD)とエアロネクスト、KDDIスマートドローンは2月14日、兵庫県養父市と2月8日付で同市の地域課題解決に向けた連携協定を締結したと発表した。
3社が注力している、ドローン配送と陸上輸送を融合した新スマート物流「SkyHub(スカイハブ)」を社会実装させ、「買い物弱者」解消などを果たして地域発展に資することを目指す。
各社は協定締結に合わせて、2月6~8日に養父市内で「レベル3.5」飛行によるドローン物流の実証実験を展開、日用品や医薬品などを無事運んだ。
(左から)エアロネクスト・田路圭輔代表取締役CEO(最高経営責任者)、養父市・広瀬栄市長、セイノーHD・和田悟ラストワンマイル推進チーム課長、KDDIスマートドローン・森嶋俊弘ソリューションビジネス推進2部長
養父市立関宮学園の子供たちが用意したメッセージを掲げる様子
連携協定に基づき、3者と養父市はドローンを含む次世代高度技術を活用し、以下の事項と連携・協定を結ぶことを目指す考え。
・持続可能な地域物流の確保と住みやすい環境づくりに関する事項
・地域雇用、人材教育、人材育成および産業基盤整備に関する事項
・地域防災や地域の脱炭素への貢献および新しい社会インフラの整備に関する事項
・地域の医療および福祉の充実と発展に関する事項
今後、具体的には養父市関宮地域を対象に、生活に必要なサービスを集約して周辺集落と交通ネットワークで結んだコミュニティ拠点を構える「関宮小さな拠点」計画の一環で物流拠点となるドローンデポの設置と、日用品・医療品のドローン配送サービスのビジネスモデル構築を検討、住み良いまちづくりを体現していくことを想定している。
【実証実験】
本実証では、「遠隔診療による医療の安心」を将来にわたって提供できるよう、ドローンが診療所で医薬品を集荷し、住民宅周辺に配送する実証を行った。また、「買い物弱者」「災害時の孤立地域発生」などの課題解決を想定した、食料品や日用品の配送実証も実施した。
さらに地域住民の受容性向上・理解促進の取り組みとして、関宮学園でドローンに関するプレゼンテーションや子供たちが用意したメッセージを出合診療所に配送するデモを公開した。
飛行ルート
(1)食品・日用品配送
関宮地域局⇒出合コミュニティスポーツセンター(配送先):飛行距離約11km、配送物約1.9kg、飛行時間約27分
(2)医療品配送
関宮学園⇒出合診療所(医薬品集荷)⇒轟地区(配送先):飛行距離約9.76km、配送物(医薬品)約0.6kg、飛行時間約29分
診療所から離陸する様子
医療品を受け渡す様子(いずれも各社提供)
(藤原秀行)