最適な使用方法検証、量産化目指す
コマツは3月7日、ナトリウムイオンバッテリーを搭載した電動式フォークリフトのコンセプトマシンを開発したと発表した。3月から実際に顧客の現場で実証実験（PoC）を始める。
ナトリウムイオンバッテリーを搭載するのは同社初。フォークリフトへの搭載自体も異例で、新しいバッテリーの性能やその特性を踏まえた最適な使用方法を検証、量産化を目指す。
ナトリウムイオンバッテリーを搭載した電動式フォークリフトのコンセプトマシン（プレスリリースより引用）
同社は電動式フォークリフトに関し、通常のバッテリー搭載機種に加え、補水不要な鉛バッテリーを搭載した機種や、長時間・重負荷作業向けにリチウムイオンバッテリーを搭載した機種を提供。現場のニーズに沿った電動化を進めてきた。
一方、特に低稼働・軽負荷の現場ではイニシャルコストの高さなどからエンジン駆動式フォークリフトを選ばれることも多く、電動化には依然課題が残っている。
ナトリウムイオンバッテリーは、エネルギー密度は低いものの急速充電に対応できるため、頻繁に充電することで連続稼働が可能。サイクル寿命（充放電を繰り返せる回数）が長いことから、劣化のためバッテリー交換が必要になるまでの時間を長く取ることができるため、ランニングコストの低減が見込める。
地球上に豊富に存在するナトリウムを用いるため、安定して調達することが期待できる上、将来のコスト低減が見込めるのも大きなアドバンテージになっている。
コマツはナトリウムイオンバッテリーの特性を踏まえ、低稼働・軽負荷の現場に適した選択肢を提供するため、コンセプトマシンを開発した。
コンセプトマシンには、コマツの1.5tクラスの電動式フォークリフトに、中国のJiangsu Highstar Battery Manufacturing製ナトリウムイオンバッテリーセルを用いてShanghai Hirano Environment Technologyが開発したナトリウムイオンバッテリーパックを搭載。電動式フォークリフトの選択肢を増やすことで、あらゆる現場の電動化を加速させ、環境負荷低減とカーボンニュートラルの実現を図る。
（藤原秀行）
