2四半期続けて全規模で改善、先行きは分かれる
日本銀行が4月1日発表した3月の全国企業短期経済観測調査(短観)によると、企業の景況感を表した業種別の業況判断指数(DI)は運輸・郵便業(道路旅客・貨物運送業、水運業、倉庫業など)が大企業で前回調査(2023年12月)から8ポイント上昇しプラス24だった。
運輸・郵便業の大企業のDIが20台に到達したのは、直近では2018年12月調査以来、5年3カ月ぶり。
中堅企業は前回から1ポイント上昇しプラス8、中小企業も1ポイント上がってプラス5となった。昨年12月調査に続いて、全ての規模で業況判断DIがプラスを記録した。
DIはコロナ禍による経済情勢悪化で、一時はリーマンショック後の不景気に見舞われていた2009年当時の低水準まで悪化したが、その後は新規感染者数の減少で経済活動が再開されていることが追い風となり、総じて持ち直しの基調が持続している。
一方、先行きの見方に関しては、大企業がプラス25で3月の結果から1ポイント上がっているものの、中堅企業はプラス3で5ポイント低下、中小企業もプラス1で5ポイント低下している。「2024年問題」などが景況感の重しになっている可能性がある。
業況判断DIは景況感が「良い」と答えた企業の割合から「悪い」と答えた企業の割合を引いて算出。全国の運輸・郵便業など製造業、非製造業の計9118社が調査対象で、回答率は99.0%だった。
全産業ベースの業況判断DIは大企業製造業が前回調査から2ポイント下がってプラス11となり、4四半期ぶりに景況感が悪化した。ダイハツ工業の認証不正問題による生産停止などが影響した。半面、大企業非製造業は2ポイント上昇しプラス34に達した。
(藤原秀行)