「物流」「空撮」などドローン機種別のライセンス発行へ

「物流」「空撮」などドローン機種別のライセンス発行へ

JUIDAなど関連6者が安全性向上目指す、25年以降

日本UAS産業振興協議会(JUIDA)、ブルーイノベーション、ACSL、イームズロボティクス、Liberaware(リベラウェア)、プロドローンのドローン関係団体・企業6者は6月5日、千葉市の幕張メッセで開幕した「JapanDrone2024」の会場で記者会見し、用途に応じたドローンの機種別の操縦者技能・運用証明証(ライセンス)新設で連携すると発表した。

政府が2022年12月に運用を開始した国家ライセンスとは別に、JUIDAが認定した講習機関(ドローンスクール)を受講した人向けに、ドローンの操縦・安全管理の技能と知識を有していることを証明する独自のライセンスを発行している。

 
 

ただ、ドローンの用途が広がり、それぞれ操縦や安全管理で求められる要件が異なってくるため、6者は2025年以降、「物流」や「空撮」といった、より細かな機種別のライセンスを発行し、それぞれの用途で安全性の高い飛行を実現していく考え。

今後、6者で役割分担し、機種別のライセンス取得に向けたトレーニングの内容を検討したり、ライセンスを取得できる技能や知識の条件を標準化したり、ライセンスを発行したドローン操縦者を管理するシステムを開発したりする予定。

会見に登壇したJUIDAの鈴木真二理事長は「ドローンは多様な種類があり、講習機関で技能証明を受けただけでは確実に使うことにまだまだ不安が残っていた。機種ごとにしっかりした使い方をマスターしていただけるような仕組みを作ろうということで、JUIDAとしてもこれまでのドローンスクールの経験を生かして貢献したい」と語った。

ブルーイノベーションの熊田貴之社長は、1年間にドローンの事故が139件起きていることに触れ「(1件の重大事故の背後に29件の軽微な事故が隠れていると指摘する)ハインリッヒの法則に従えば、軽微なものを含めると4000件近くの事故が潜んでいる可能性がある。安全性と客観性が担保された中で健全なドローン市場が拡大していくのではないか」と述べた。

ACSLの鷲谷聡之CEO(最高経営責任者)は「撮影する機体に求められている要件、操縦方法と物流のように重い物を遠くへ届けるために必要な知見や操縦方法は似て非なるものがある。国のライセンスはドローンを飛ばす上で必ず必要な知見を担保していただいている。この取り組みは必要な操縦方法や知見を整備していくことで社会実装に近づいていく最初の一歩になる」との見解を示した。

イームズロボティクスの宇田丞事業推進本部 ソリューション営業部長は「安全な機体を世の中に提案、提供していきたい。機体があるだけでは社会実装は進まない。技能を取得する方が増えていったり、運用技術が標準化されていったりすることが非常に重要。災害時に多くのメーカーと連携することが能登半島地震でできたので、平時もハードウェアメーカー、オペレーターの皆さん、事業者の方々が連携していく場ができればいいと思う」と期待を示した。

 
 

Liberawareの閔弘圭CEOは「ドローンが使われることに対して、ネガティブなイメージが強いが、ドローンを飛ばすことがちゃんと資格と結び付けば自由に飛ばせるようになり、社会実装につながると強く思っている。メーカーとしてもしっかり世の中に貢献していける」と強調した。

プロドローンの戸谷俊介社長は「まだ競争領域ではなく協調領域として、一緒になってマーケットを作っていきたい。機能と運用の安全を担保するためには機種ごとの運用証明が非常に重要だと思っている」と話した。


会見後の撮影に応じる(左から)JUIDA・鈴木理事長、ブルーイノベーション・熊田社長、ACSL・鷲谷CEO、イームズロボティクス・宇田部長、Liberaware・閔CEO、プロドローン・戸谷社長

(藤原秀行)

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