【経営統合】日立物流/SGHD「ECプラットフォームセンターが協創の核」

【経営統合】日立物流/SGHD「ECプラットフォームセンターが協創の核」

中谷社長「将来的に目指している姿の実現に期待」

日立物流の中谷康夫社長は5月24日に開いた新中期経営計画「LOGISTEED 2021」説明会で、業界内外から注目されているSGホールディングス(HD)との経営統合について「前中計でもしっかり成果を挙げてきた。現在取り組み中の案件にも可能性の高いものがかなりある。この流れで行けば将来的に目指している姿が実現するタイミングは出てくると思う」と前向きな見解を示した。

これまでの展開では日立物流のセンターと佐川急便の車両を組み合わせた「一体型センター」などが順調に推移。日立物流の営業拠点が佐川急便のトラックターミナル的な役割を担うケースも出てきていることを明らかにした。

19~21年度の新中計における協創では、今年9月に埼玉・春日部市で稼働予定の「ECプラットフォームセンター」(延べ床面積:約2000坪)に期待を寄せる。最新の自動化設備、デジタル技術などを駆使して庫内作業の72%を省人化する画期的な取り組み“スマートウエアハウス”について、中谷社長は「当社の自動化と佐川急便のデリバリー力を組み合わせてリードタイムを1日短縮。これは顧客に大きなベネフィットをもたらすことになるだろう。まずは北関東エリアから始めてうまくいけば全国で展開していきたい。ECプラットフォームセンターはSGHDとの協創において今後大きな核になるのではないか」と展望した。


中谷康夫社長

藤谷寛幹常務営業統括本部長・営業統括本部ロジスティクスソリューション開発本部長は同センターの意義について「前中計では『ラックル』や順立て機などに見られるような、作業で人が動くのではなく物を動かすことへの転換を図り現場に実装してきた。新中計では人の手を使う部分の省人化・省力化に努めていきたい。単に要素技術を展開するのではなく全体のシステムとしてインテグレートすることが目的」と解説。

同社がこの数年間にわたって取り組んできた自動化プロジェクトは、よりパーソナルな領域・次元へと深化していることがうかがえる。同センターの進捗状況に関して藤谷常務は「6月中旬から設備も含めた全体チェックを進めていく。ユーザーはまだ言えないが営業面ではいろいろな観点から注力している」とした。


藤谷寛幹常務

佐藤清輝専務経営戦略本部長・協創PJ長は「国内ではECプラットフォームセンター以外にも新規・既存施設で協創は行われており、可能性のある案件をリストアップしていくとかなり大きなものになる。またSGHDのTMSと当社の重量機工事業を組み合わせた今までにはなかったアプローチも始まっている。海外でも中国内陸部への展開や対象アイテムの拡大、海外拠点の有効活用なども視野」と言及。協創によるシナジーとポテンシャルの伸びしろは今後さらに高まっていくことを示唆した。


佐藤清輝専務

中谷社長はSGHDとの統合に向けたポイントとして「ベースにあるのは当社が協創効果を出せるのかどうか。これは19年度に1回目の結果が出る。それを踏まえて今後の数値目標などを固めていきたい。当社として何を求めていくのかを含めて双方が将来の方向性をしっかり擦り合せ、その上で最後にどういった形の仕組みで進んでいくのか」と表現。新中計では両社間でさらに踏み込んだ検討・検証を行っていくことが予想される。

(鳥羽俊一)

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