厚労省、企業に熱中症対策を義務化へ

厚労省、企業に熱中症対策を義務化へ

重篤化回避へ事前に対応手順作成し周知定める、今夏の施行目指す

厚生労働省は1月27日に開催した労働政策審議会(厚労相の諮問機関)の安全衛生分科会(分科会長・髙田礼子聖マリアンナ医科大学予防医学教室主任教授)で、熱中症対策を強化する方針を提示した。

企業に対し、労働者を熱中症から守るため、事業場ごとに熱中症の自覚症状がある人を見つけた場合にすぐ報告、対応を迅速に講じられる体制を整えることなどを義務付ける。対策を怠った場合の罰則も設定する。

 
 

厚労省は労働安全衛生規則を改正、今夏に施行したい考え。

厚労省が示した方針は、熱中症対策の規制は気温や湿度などから熱中症のリスクの高さを算出する「暑さ指数(WBGT)」が28度以上か気温が31度以上の環境下で、連続1時間以上もしくは1日4時間以上の実施が見込まれる現場作業を対象に設定。

熱中症の恐れがある人や熱中症の初期段階の人を現場で早期に発見、対応できるようにするため、事業場で緊急の連絡先や搬送先などをあらかじめ明確に示しておくとともに、重篤化を避けるため体を冷やすなど対応の手順を作成し、周知することなどを定める。

厚労省によれば、職場で仕事をしている際に熱中症になった人は2023年度が1106人、このうち亡くなった人は31人に上った。死去したケースの大半は、発見が遅れたり、医療機関に搬送しなかったりと「初期症状の放置・対応の遅れ」が原因となっているため、初期症状の早期発見や猛暑の現場からの早期離脱などの対応を後押しすることにした。

(藤原秀行)

政策カテゴリの最新記事