成田空港の「エアポートシティ」移行へ周辺に先端産業や物流施設集約

成田空港の「エアポートシティ」移行へ周辺に先端産業や物流施設集約

国交省や千葉県、運営会社などが地域と一体発展の構想決定

国土交通省と千葉県、成田国際空港会社(NAA)、空港周辺9市町は6月12日、千葉市内で、成田空港の機能強化策を検討する「4者協議会」を開催し、成田空港と周辺地域が一体となって発展していくための計画「エアポートシティ」構想を決定した。

同構想は目指すビジョンとして「誰もが輝き、世界と響き合うフラッグシップ・エアポートシティ」を設定。その実現に必要な観点として「多様な主体による革新的な取り組み」「起爆剤としての資本投入と多様な民間投資の継続的な誘発」「必要に応じた規制緩和と制度導入」——を列挙している。

 
 


(いずれもNAA提供)

具体策として、空港周辺を5つのエリアに分け、それぞれのエリアが連動して経済活動の活性化などにつなげることで、「空港都市圏」を形成することを打ち出している。

5つのエリアは、
①空港至近の「エアポートエリア」=先端技術関連の企業や物流施設、研究機関を集積
②空港北側の「リバーサイドエリア」=水運・醸造文化を活用して観光・交流・農業が共存
③空港東側~南側の「ナチュラルライフエリア」=豊かな農産物や自然を生かして子育てしやすい環境を整備
④空港西側の「アーバンエリア」=市街地再生と成田山新勝寺などの文化的資源を調和させ経済交流拠点として展開
⑤空港南側の「シーサイドエリア」=九十九里浜など海辺・水辺の特性を生かして新たな観光を推進
――と分類。


(NAA資料より引用)

さらに、エアポートエリア内は、
①物流・産業機能と高付加価値農業・輸出拠点が共存する複合ゾーン
②航空宇宙産業を中心とした先端産業拠点・トレーニング施設の集積ゾーン
③医療・研究開発拠点を中心としたライフサイエンス事業の集積ゾーン
④業務・宿泊機能を備えた交流拠点ゾーン
――の4つに区分し、異なる機能が連携し合って空港都市の価値を最大化していくシナリオを描いている。


(NAA資料より引用)

 
 

構想実現のタイムスケージュールは、
①「構想期」(~2025年)
②「実行期」(2025~30年)
③「展開期」(2030~40年、40~50年)
④「定着・持続期」(2050年~)
――に分けている。2050年の発着回数50万回達成を念頭に置き、各施策を着実に進めていくことを盛り込んでいる。

4者協議会は併せて、滑走路の延伸・新設や新旅客ターミナルの整備、貨物施設の集約などを含む「新しい成田空港」構想について、一般からの公募結果を踏まえ、総称(愛称)を「成田空港第2の開港プロジェクト」に決めた。

(藤原秀行)

経営/業界動向カテゴリの最新記事