X Mileが実態調査、応募数自体少ないことなどネックに
物流や建設などの業界向け業務効率化支援システムを展開しているX Mile(クロスマイル)は6月16日、物流業界の実態調査の一環として、女性トラックドライバーに関する独自調査結果を公表した。
女性ドライバーに関して、調査に協力した企業の3割超が「採用に今後注力する予定はない」と答えるなど、企業側の期待度がまだ高まっていないことが示された。女性ドライバー採用に関して課題と感じていることは、応募数自体が少ないことがトップだった。
■調査概要
・調査期間:2025年3月12〜21日
・調査方法:インターネット調査、ウェブアンケートによる調査
・調査対象:全国20代以上の男女
└物流事業者の経営者・役員185人
└X Mile求人・転職サイト「クロスワーク」に会員登録しているトラックドライバー720人
調査結果によると、女性ドライバーの採用状況について、企業の36.2%が「今後注力する予定はない」と回答。
「積極採用」はわずか24.3%にとどまった。地域別に見ると、全国のトップは四国地方で33.3%だった。
積極採用中と回答した企業の理由としては「ドライバー不足の解消」に期待する声が多かったが、4割にとどまった。一方、「近々ストップする予定」が全体の7.0%で、地域別に見ると、特に東北地方では女性ドライバーの採用が進んでいない現状が浮き彫りになったという。
同社は「人手不足が続く中でも、女性ドライバーの採用に対して消極的であるか、あるいは注力していない実態が明らかになった」との見方を示した。
女性ドライバー採用の課題について、最も多かったのは「応募者数が少ない」で75.6%に達した。「業界のイメージが魅力的でない」「どのようにアピールしたらいいかわからない」という回答も多く、募集以前の魅力発信や業界のイメージ改革に課題を感じている企業が多いことが示された。
トラックドライバーの約半数(49.7%)が、「女性ドライバーならではの悩みや課題がある」と回答した。この回答は男女双方のドライバーに聞いた結果をまとめている。
しかし、男性ドライバーは「悩みがある」48.2%/「悩みはない」51.8%(現場で実感していることの観点から回答)なのに対し、女性ドライバーは「悩みがある」72.3%/「悩みはない」27.7%で明確に分かれた。同社は「女性の現場での深刻な悩みに対し、男性がその実情を十分に認識できていない」と指摘した。
女性ならではの課題があると答えた理由(男女計)は、「トイレの確保」が55.6%でトップ。次いで、50.6%が「体調管理が難しい(生理など)」を選択しており、半数以上がインフラと身体的な課題を強く感じていることが示唆されている。
性別で見てみると、男性が考える女性特有の悩みトップ3は「女性専用設備の不足(24.5%)」、「給与面での差(19.6%)」、「体力面での差(19.6%)」だった。
女性ドライバーが最も強く感じる悩みは「体力面での差(20.9%)」で、「女性専用設備の不足(18.6%)」、「職場での理解不足(16.3%)」が続き、少数派であることによる孤立感や偏見が課題になっているという。
同社は「設備や体力面では男女共通の認識があるものの、給与や昇進などキャリア形成に関する課題では、男女間で認識のずれが明らかになった」と強調している。
女性ドライバー募集時の工夫として、企業の28.9%が「働きやすい環境づくり」と回答。次いで、「セクハラ・パワハラ防止策の徹底」、「女性専用の休憩室や更衣室を設置」が各20.0%となった。
一方、ドライバーが会社に求める「女性採用・活躍の支援」で最もニーズが高いのは、「女性専用設備」で42.2%に到達した。次いで「男女別のトイレの整備」が41.5%と、企業側の施策で20.0%に留まる「女性専用の休憩室や更衣室の設置」と比べ、現場からの要望が大幅に上回った。
男女別ではと、女性が最も切実に訴えるのは、「男女別のトイレ整備(12.8%)」や「女性専用休憩室・更衣室の設置(10.8%)」といった物理的インフラの不足だった。「運転席や荷台の改良(各10.8%)」による体力の負担軽減も、重要な課題として挙げられている。
一方で男性は、「運転席や荷台の改良」に約10%が関心を示しているものの、女性が最も重視する「トイレ整備」はトップ5に入っておらず、代わりに「ハラスメント対策の徹底(8.52%)」が上位に見られ、女性の安全への意識の高まりが反映されているという。
また、「職場の理解」や「昇進・管理職への道」など、女性が重視する項目については、男女間で認識のギャップが明確に浮かび上がる結果となった。
(藤原秀行)