再配達削減へ検討会で議論開始へ、盗難や誤配のリスクに懸念も根強く
国土交通省は宅配の再配達削減を促すため、運送事業者と荷主の運送取引に関する基本的な契約条件を定めている「標準運送約款」を見直し、宅配の際の置き配を標準サービスとして位置付けることを検討している。
6月26日に初会合を開催する有識者会議「ラストマイル配送の効率化等に向けた検討会」で、置き配の標準サービス化などを本格的に議論、2025年中にも結論を出したい考え。
政府は23年6月、「物流2024年問題」への対応を協議する関係閣僚会議で取りまとめた政策パッケージの中で、宅配の再配達率を24年度に6%まで半減させることを目標に設定していた。
しかし、宅配大手3社の再配達率は今年4月時点で8.4%と低下はしているものの、政府の目標には到達していない。そこで対応をさらに強化することにした。
標準運送約款は国交相が認可し、運送事業者にとって事業を展開する上でのひな形となっている。国交省は標準運送約款に置き配を盛り込むことで、より普及を後押ししていくことを目指す。
検討会ではこのほか、標準運送約款の中で荷物をドライバーから受け取る人に手渡しする場合は追加料金を設定できるかどうかについても、議題として取り上げることを目指す。
ただ、置き配に関しては、運送事業者と利用者の双方から届けた商品の盗難や誤配のリスクがあることへの対応を求める声が根強い。宅配ボックスの整備などを優先すべきだとの意見もあり、検討会でも慎重な議論が求められる。
(藤原秀行)