テラ・ラボ、無人航空機の飛行試験が累計100時間完遂

テラ・ラボ、無人航空機の飛行試験が累計100時間完遂

量産化と国際展開目指す

テラ・ラボは9月18日、自社で開発を進めている、滑走路を必要としないVTOL(垂直離着陸)性能を備えて都市部や被災地など限られたスペースからも即時運用できるようにする無人航空機「テラドルフィンVTOL」が、累計100時間の飛行試験を完遂したと発表した。

2024年12月にグローバルチームで飛行試験(国外、場所は非公開)を開始し、安定した運航性能と信頼性を確認できたと説明している。



試験は日本で特定飛行(長距離目視外・150m以上の飛行など)を実現するための要件となっている100時間の飛行実績を満たすことを目的に展開していた。加えて、耐久性と信頼性(D&R:Durability and Reliability)を実証し、技術成熟度レベル(TRD:Technology Readiness Levels)は「レベル7」に到達。社会実装に向けた重要なステップになったとの見解を示している。


「テラドルフィンVTOL」

テラドルフィンVTOLは、複合材整形技術を用いた軽量かつ高強度の機体を備え、しなやかで高い耐久性を実現。航続距離は1000kmを目標に掲げ、広域災害調査や洋上監視といった従来の無人航空機では困難だった任務に対応できるようにする。

多目的プラットフォーム(MPP:Multi Purpose Platform)モジュール設計を採用し、制御装置・通信装置・観測装置などを自由に組み合わせられるようにすることを想定。任務に応じた柔軟なカスタマイズを可能にし、防災・安全保障から物流・環境調査まで多用途に活用できる次世代無人航空機にすることを目指している。

テララボは今後、福島県南相馬市に設置した拠点「テララボ福島」を中心に量産化を推進し、国内外の需要に応える体制を整備する。並行して、部品メーカーとの協力関係をさらに拡大し、サプライチェーンを強化することで安定供給と品質向上を実現する。


「テララボ福島」。今後はアジャイル開発を進めながら隣接する福島ロボットテストフィールドでの品質管理のための飛行評価試験を行う予定



防災・安全保障分野では、南海トラフ地震を想定した津波被害調査や、沿岸監視・洋上調査への活用を進め、初動対応に貢献することを念頭に置いている。さらに、OSA(政府安全保障能力強化支援) を通じて国際的な防災・安全保障体制の強化にも寄与することを目指す。

開発面では自治体・防災機関・安全保障機関との対話を重視したアジャイル開発を導入し、現場ニーズを迅速に反映させることで、実運用に即した無人航空機の改良を継続的に進める構想を立てている。

(藤原秀行)※いずれもテラ・ラボ提供

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