【独自】NPPのグループ入り、一貫パレチゼーションの着実な推進に寄与

【独自】NPPのグループ入り、一貫パレチゼーションの着実な推進に寄与

JPR・二村社長がインタビューで表明、アジアで事業拡大にも意欲

レンタルパレット最大手の日本パレットレンタル(JPR)は、同業の日本パレットプール(NPP)へのTOB(株式公開買い付け)などを実施、4月17日付で完全子会社化する。JPRがTOBで同業他社をM&Aしたのは1971年の創業以来、初めてだ。

JPRとNPPはいずれも1960年代に国内でパレット輸送普及の機運が高まったことが誕生の端緒になったという共通点があり、50年余りを経て、同一企業グループとして新たにスタートを切ることになった。



このほど、ロジビズ・オンラインの単独インタビューに応じたJPRの二村篤志社長は、NPPのグループ入りで、創業以来の理念とする、出荷から最終納品まで荷物を同じパレットに乗せて輸送・保管する「一貫パレチゼーション」をより着実に推進していくことができると期待をのぞかせた。発言内容を紹介する。


インタビューに応じる二村社長

「同じ志の企業と安定的な協業を」

――「物流2024年問題」などの影響で、物流業務の効率化に資するパレットの存在がクローズアップされています。「一貫パレチゼーション」の普及を目指す御社として、この状況をどう捉えていますか。
「確かに注目は集めていますし、パレットで保管・輸送されるケースは増えています。政府も普及促進でさまざまな政策を講じられていて非常にありがたいのですが、率直に申し上げると危機感も持っています。国内で見た場合、パレットの需要もいずれ頭打ちの時が来ると予想しています」

――日本パレット協会の会長としての記者会見などでも、かねてよりそうした危機感に言及していますね。注目度の高まりにもかかわらず先行きを楽観されていない理由は?
「パレットの市場は現状でも非常に調子が良いというわけではないんです。もちろん、これからトラックドライバーが本格的に増えることは期待しづらいですし、荷役を効率化できるパレットの利用は徐々に増えていくとは思います。しかし、仮にパレットをお使いいただくことになっても、設備の更新や変更が必要になります。導入の準備に時間がかかりますし、一気にパレットの利用が増えるというわけではない。普及の促進には引き続き、中長期的な目線で取り組まないといけないでしょう」

――同業のNPPをM&Aしたのはそうした危機感が背景にあったのでしょうか。
「今後も成長を続けていくためには、やはり同じ志をお持ちの企業と安定的に協業するというのが1つの考えではありました。また、レンタルパレットが他の自動化機器などに対する価格競争力を持ち、付加価値を高めるには、パレットの事業としてもある程度の規模を持つ必要があります。これは当社だけではなく、レンタルパレット業界全体としても必要なことだと感じています」

「レンタルパレットのデポ(回収や再出荷などのサービス拠点)は当社で約60カ所、NPPさんは約200カ所に上ります。それぞれの戦略の違いからデポの規模は異なりますが、両社が組むことで重複しているデポはある程度整理をしつつ、全国でサービス基盤を強化できると思います。もちろんこのあたりは今後、NPPさんと具体的にいろいろとお話をしていきます。同時に、両社でそれぞれ要していたパレット回収などの業務を効率化しコストを抑えることも可能でしょう。そこは先ほどもお伝えした価格競争力の強化につなげることができます」



――TOBの結果は議決権ベースで9割を超える応募がありました。
「正直に申し上げると、9割に達したことには驚いています。今後の日本の物流を考えた時に、やはり(今回のTOBが)必要だということを皆さまにご理解いただけたところもあるのではないかと推測しています」

――NPPの開示資料を見ると、最初に御社がNPPに声を掛けたのが2025年の5月で、将来の資本提携を含めた協業について打診があったと説明しています。
「当社とNPPさんはともに1960年代、物流合理化の機運が高まったのを受け、当社の創業にも深く関わった平原直氏が提唱した、国家的なパレットプールシステム(パレットの共同利用・レンタルシステム)構築の議論が源流となっています。標準的なパレットを用いた一貫輸送を普及させていくため、当社とNPPさんがそれぞれ発足しました。当時はさまざまな理由があり、2社が70年代に別々に創業したのですが、平原氏は2社が将来、緊密に連携して活動していくことを強く願い続けていました。パレットが非常に注目される中、50年以上が経過して、理念が近い両社が1つになろうとしていることは非常に意味があると思っています」

「今は一貫パレチゼーションをより広げていくチャンスでもあります。当社は食品、日用品などのお客様の利用が多いのに対し、NPPさんは石油化学業界に強みをお持ちです。それぞれが別々に活動を続けるよりは1つになった方が、お客様にとってもより効率が上がるのではないでしょうか。パレットの調達という点でも、そして両社のシナジーという点でもプラスになります」

――相手がNPPかどうかを問わず、今後の持続的成長にはM&Aが必要という考えは御社の中でかなり前からあったのでしょうか。
「そんなに遠くない昔から、という感じですね」

――正式に協業推進をNPP打診してから実際にTOB開始へ踏み切るまでの期間が1年足らずで、かなり迅速に話が進んだような印象です。
「私自身もそのように感じています。これはあくまで私の推測ですが、やはり先ほどお話したような将来に対する危機感をNPPさんもお持ちだったのではないでしょうか。そういう意味では、われわれがお声掛けしたタイミングもちょうどよかったのかなと感じます。もし早かったり遅かったりしていたら、また違う結果になっていたかもしれません」

――御社はレンタルパレット事業のIT活用、DX促進に積極的です。NPPとしてはそうした姿勢に対する期待も強いのでは?
「NPPさんの期待の強さはすごく感じています。産業界全体を考えた場合、パレットレンタルの利便性向上はやはり不可欠です。パレットを安定して供給するのは当然なのですが、さらに便利に使えるようにするという意味では、パレットレンタルのお客様からもいろいろと期待をいただいているのかなと思います」



――御社がユーピーアール(upr)と展開しているレンタルパレットサービスの基盤システム「X-Rental Open Platform」(XROP、クロップ)の現状は?
「両社のパレットの発注や返却、受け払い、問い合わせへの対応を共同で利用できることで非常にお客様の効率が良くなります。両社それぞれのパレットをお使いいただいているお客様も結構いらっしゃいます。より利便性を高めることに今注力し始めていますので、さらに使いやすいサービスが今後展開されるようになると考えています」

――NPPもXROPに参加しますか。
「これから具体的にお話していきます。導入には時間が掛かりますので私としては早めに進めていきたい。その部分でNPPさんが期待されている部分もかなり大きいのではないかと感じています」


(JPRとupr提供)

――御社はプラスチックパレットがメーンの一方、NPPは木製パレットを得意としてきたという違いがあると思いますが、その違いは同一グループになることでプラスになりそうでしょうか。
「木製パレットもまだまだ物流現場で使われていますし、その部分でNPPさんが蓄積されてきた知見、ノウハウはかなり生かせるのではないか。逆に当社のプラスチックパレットに関する知見も活用していただけるんじゃないかと思います。そこはお互いに生かし合っていきたいですね」

――NPPを完全子会社化された後、中長期的にどういったところを目指しますか。
「やはりリソースはある程度集約したいですし、それとともに新たなレンタルサービスも開拓していきたい。PMI(統合作業)もまずお互いの業務内容をよく理解するところから始めていきます。4月以降、本格的に作業を進めます。さらに、NPPさんの主要なステークホルダーだったJR貨物さんやNIPPON EXPRESSホールディングスさんとの関係も強化したいですね」

「パレットは海外にも展開していきたいと思っています。先ほども申し上げた通り、国内だけでは需要はいずれ頭打ちになるでしょう。特にアジアでパレット輸送の拡大に貢献し、レンタルパレット事業者としてナンバーワンを目指したい。その実現のために、NPPさんのリソースをどのように使っていくかを考えていきます。アジアではまだまだ、パレット輸送をメーンで手掛けている事業者は少ないですから。アジアも日本のように人口のボーナス期(生産年齢人口が増えて経済成長を促進する時期)が終わり、人手不足が深刻になってくるでしょう。そうなる前にパレット輸送の仕組みを整備して、サービスをいち早く提供していきたい。アジアから日本へ直接パレット輸送できるようになれば多くのお客様に喜ばれると思います」

――一貫パレチゼーションを進めるという意味では、NPPさんのグループ入りは間違いなくプラスになりますか。
「そうしていきたいですね」

(藤原秀行)

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