SpecteeとSynspectiveが衛星画像+SNS情報で浸水範囲をより精緻に推定する手法開発、物流・サプライチェーンのリスク判断などに活用可能と期待

SpecteeとSynspectiveが衛星画像+SNS情報で浸水範囲をより精緻に推定する手法開発、物流・サプライチェーンのリスク判断などに活用可能と期待

近年の豪雨事例データで有効性確認

防災テックのスタートアップSpectee(スペクティ)と天候や昼夜を問わず観測が可能な小型SAR(合成開口レーダー)衛星の開発・運用、SARデータの販売・ソリューションの提供を手掛けるSynspective(シンスペクティブ、東京証券取引所グロース市場上場)の両社は8月12日、SAR衛星データの判読により抽出した広域の浸水範囲と、SNS投稿から判別した地点ごとの浸水深情報を統合し、浸水範囲をより精緻に推定する手法を開発したと発表した。

両社は過去の豪雨時のデータを用いた共同検証により、本手法の有効性を確認したという。

両社は2025年7月、災害対応の迅速化・高度化を目的とした協業を進めると公表しており、今回の手法開発もその一環。

Synspectiveは、小型SAR衛星「StriX」により、天候や昼夜を問わず広域の地表面を観測し、浸水被害を解析するソリューションを提供してきた。

ただ、衛星観測のみでは、ビルや住宅が密集する市街地で局所的な浸水状況を詳細に把握することが難しいことが課題だった。

一方、SpecteeはAI技術を活用してSNS投稿から浸水地点と浸水深を自動判別し、地形・降水量データと統合して浸水範囲をリアルタイムに推定する技術を有している。現場のピンポイントな浸水状況の把握は得意なものの、SNS投稿の少ない地域では状況把握に限界があった。

両社は協業開始以降、広域を面的に捉える「宇宙の眼(SAR衛星)」と、現場をピンポイントに捉える「地上の眼(SNS情報)」を融合させ、互いの死角を補い合う浸水解析技術の共同開発を進めていた。

両社のデータを解析、標高・土地利用データと組み合わせてより精緻な浸水範囲を推定できるようにした。SAR衛星データから得られる浸水範囲の境界を浸水深推定の基準情報として活用するとともに、河川ごとの流域・勾配などの地形特性を考慮することで、広域にわたり地形条件から矛盾の少ない浸水範囲・浸水深の推定が可能という。

25年8月に熊本県天草地域で発生した豪雨事例を対象に、当時それぞれが取得したSAR衛星データとSNS投稿データを用いて両社共同で検証を行い、両社の浸水解析の結果が整合したことなどを確認した。


SynspectiveのSAR衛星データから判読した今泉川流域の浸水範囲(© Synspective Inc. 背景図:地理院タイル)


本浸水範囲推定手法により推定した今泉川流域の浸水範囲(© Spectee Inc. 背景図:地理院タイル)


実際の今泉川流域の浸水範囲(熊本県天草広域本部土木部の調査に基づく)

両社は新手法で発災後早期に、より実態に即した浸水状況を推定できるようになると強調。自治体における初動対応・避難判断や罹災証明発行の迅速化のほか、企業の拠点被害の確認やBCP対応、物流・サプライチェーンのリスク判断など、幅広い場面での活用が考えられると指摘している。

今後、地形条件や災害規模の異なる複数の豪雨事例のデータを用いた検証を重ね、安定して均質な情報を提供できる技術としての確立を図るとともに、サービスとしての実用化を検討する。

(藤原秀行)※いずれも両社提供

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