日本気象協会とソフトバンクがバローHDグループの協力得て実証、食品廃棄量を13%削減し、作業時間は37%短縮
一般財団法人日本気象協会とソフトバンクは8月19日、バローホールディングスと傘下の中部フーズの2社の協力を得て、農林水産省の「令和6年度食品ロス削減緊急対策モデル支援事業」の公募に採択され、気象データ・人流データ・AIを活用し、食品スーパーの総菜部門における食品ロスの削減と業務の効率化を目指した実証実験を今年1~3月に共同で実施したと発表した。
中部フーズが東海地方を中心に展開する「スーパーマーケットバロー」の総菜部門は店内調理による高品質な商品提供や魅力的な売場づくりによる顧客価値の向上を目指す中で、付帯作業や管理業務の負担が発生している上、適正な商品量の判断が各店舗の従業員の経験や勘に依存していることで、食品ロスの発生や店舗間でのばらつきが課題になっていた。
その解決に向けて、AIによる需要予測とダイナミックプライシング(値引き最適化)を活用し、食品ロスの削減と業務の効率化を目指した実証実験による効果検証を行った。
実証は「スーパーマーケットバロー」20店舗を対象に展開。同地域・同規模の比較店舗との対照分析により、食品廃棄量を約13%削減したほか、発注・計画作業時間を約37%短縮したという。
さらに、食品ロスの削減による環境負荷の低減に加え、人手不足を背景とした業務効率化や生産性向上につながることを確認した。また、売上高は2.9%、売上総利益も4.1%それぞれ増加するなど、収益性の向上にも寄与。実証期間後も、各項目に対する効果は継続して維持されていることが確認されていると強調している。
実証では気象データ(降雨・降雪など)や人流統計データ、店舗の販売実績・来店客数データを統合し、AIによる需要予測に基づく自動発注に加えて、ダイナミックプライシングや店舗運営AIエージェントを活用することで、食品ロスの削減や業務効率化、生産性向上への効果をチェックした。
店舗の生産計画・発注を支援するため、商品ごとの生産計画・発注量を自動で提示するAI予測モデルを導入。製造部門における原材料の調達や納品業務の生産性向上を図るため、店舗からの発注リードタイムの長期化にも取り組んだ。
需要予測後の販売局面では、当日の販売進捗や在庫状況、来店客数予測を基に、各商品の値引きタイミングや値引き価格の設定をAIが推奨するダイナミックプライシングを実施した。
また、AIによる自動発注やダイナミックプライシングの提案に対して、店舗担当者の理解促進と納得感の向上を目的として、推奨理由や予測の背景を説明する店舗運営AIエージェントを構築した。その結果、欠品回数は3.2%減らせたという。
悪天候や曜日要因などによる需要変動を事前に見込んだ自動発注が可能となり、総菜などの作り過ぎや欠品回数の抑制による食品ロスの削減を達成。加えて、発注業務や生産計画の策定に要する現場負担も軽減できたという。。
本実証で得た成果は、特定企業に限定せず、食品流通業全体で応用可能な食品ロス削減モデルとみており、中部フーズは今後、組織運営上の課題を解決した上で、運営を担う「スーパーマーケットバロー」の総菜部門の全店へのAI需要予測・ダイナミックプライシングの展開を予定しいる。
ソフトバンクと日本気象協会は、その展開を技術面から支援するほか、定期的にAI予測モデルを見直して一層の精度向上を図るとともに、食品ロスの削減や業務効率化、持続可能な店舗運営の実現に取り組む。
(藤原秀行)









