JLL26年調査結果、全体では12位と「高」グループ入り維持
米不動産サービス大手ジョーンズ ラング ラサール(JLL)は9月16日、世界の主要国・地域で商業用不動産市場がどの程度情報開示に積極的で投資判断しやすいかを比較した「2026年版グローバル不動産透明度調査」の結果を公表した。
調査は1999年から2年ごとに行っており、今年が14回目の公表となった。26年の日本の透明度は世界88カ国・地域の中で12位に入った。前回の2024年調査時の11位から1つランクを下げたが、22年から透明度が「高」の市場グループのメンバーの地位を維持しており、アジア地域の中では3回続けて首位を記録した。
評価の項目別では、特に不動産の「サステナビリティ」に関する透明度が3位で、24年の2位から1つ順位を下げたが、建築物からの温室効果ガス排出量削減やエネルギー利用効率向上などに関する情報開示が進んだことがプラスとなり、上位をキープした。政府が企業に対するサステナビリティ関連の情報開示を義務化したことなども追い風となった。
JLLは半面、日本独自の慣習「共益費」の根拠や内訳が借り主に示されておらず実態が不透明なことや、地方都市の不動産関連データの開示不足などが課題と指摘。調査全体の結果から透明度と投資マネーが結び付いていることが一段と鮮明になったとの見方を示し、日本にもより上位にランクインするためには改善を必要と呼び掛けた。JLLはこれまでの調査でも共益費の問題について言及してきた。
JLL日本法人は同日、東京都内で調査結果のメディア向け説明会を開催した。同社リサーチ事業部の大東雄人シニアディレクターは「Jリートの情報開示は世界でもかなり高い評価を得ている。鑑定評価も日本の基準や頻度が(透明度向上に)貢献している」と指摘。日本が順位を1つ落としたことについては「年々日本の透明度は改善している。日本が後退したという認識はなく、むしろグローバルの方の改善のスピードが速いのではないか」と分析した。
JLLグローバルリサーチシニアディレクターのマシュー・マコーリー氏は「日本の市場についてはこの数年間、非常に前向きな進化が見られている」と語った。
大東氏は物流施設に関し「10年近く前は物流施設市場もオルタナティブ(非伝統的)と言われる透明度の低いセクターだったが、外国の投資家らが入ってきてデータの充実と情報開示が進み、今や伝統的なアセットの仲間入りをしているような状況なので、かなり日本のマーケットの透明度向上に貢献していると認識している」と語った。また、物価上昇を背景に、CPI(消費者物価指数)と連動した賃貸借契約が物流施設の間でも定着していくとの見方を示した。
一方、データセンターの市場透明度の展望について「海外の投資家からの投資意欲はかなり高まっていることを実感している。マーケットがまだまだ成熟していないのでデータの整備が進んでいない」と説明。「ゆくゆくはJLLとしてもデータ公開を進め、透明度の改善を進めていきたい」と述べた。
調査は各市場の不動産取引や物件、上場企業の財務などに関する情報開示の度合い、法規制の現状といった256項目を「パフォーマンス測定」「市場ファンダメンタルズ(基礎的条件)」「上場法人のガバナンス」「規制と法制度」「取引プロセス」「サステナビリティ」の6つのサブインデックスに分けて独自に分析、数値化している。
グローバル全体では20年から4回連続で英国が1位となり、2位は2年続けてフランスだった。3位はオーストラリアが前回から1つ順位を上げて入った。以下、米国、オランダ、カナダ、ニュージーランド、アイルランド、スウェーデン、ドイツがトップ10に名を連ねた。
アジアではシンガポールが13位、香港が14位、韓国が24位、インド(主要都市)が26位、中国(上海・北京)が31位、台湾が32位などとなった。

透明度のランキング(JLL提供)
(藤原秀行)










