DMPと西尾レントが商業施設内の危険・迷惑行為をAIが自動検知・警告するシステム実証で効果確認、物流現場などへの展開目指す

DMPと西尾レントが商業施設内の危険・迷惑行為をAIが自動検知・警告するシステム実証で効果確認、物流現場などへの展開目指す

スケボー滑走を抑止、ゼロ件に

ディジタルメディアプロフェッショナル(DMP)と建設機械や重機のレンタルなどを手掛ける西尾レントオール(大阪市)の両社は10月5日、大阪市内の大型商業施設「グラングリーン大阪」で、スケートボードの滑走など迷惑行為・危険行為を防ぐため、LLM(大規模言語モデル)を活用し監視カメラの映像から異常行動を自動検知するシステムの実証実験を共同で行ったと発表した。

グラングリーン大阪のエリアマネジメントとパークマネジメントを担う一般社団法人うめきたMMOが運営している、持続可能なまちづくりや共創を図る「MIDORIパートナー制度」の枠組みの下、同制度にメジャーパートナーとして参画する西尾レントオールの取り組みの一環として実施した。



DMPは行動認識AIプラットフォーム「Vision-LLM Insight」を基盤とする検知システムの開発と、実運用データを用いた継続的なチューニングを担当。約4カ月にわたり実運用検証を続けた結果、グラングリーン大阪で異常行動の検知精度は41.8%から83.5%へ向上した。

警告音声機能との組み合わせによりスケートボード滑走の検知件数は月間0件(今年4月)まで減少するなど、実環境における有効性を確認したという。


本実証実験期間中にシステムが撮影したスケボーの検知例(個人の保護のため一部修正している・西尾レントオール提供)

DMPは実証実験で得られた知見を活かし、「Vision-LLM Insight」および関連ソリューションの機能改善を継続する。スケートボード滑走の検知にとどまらず、侵入、放置、不審な徘徊、転倒といった多様な行動シナリオへの展開を進め、自治体、公園・道路・施設管理者、商業施設、建設・物流現場など幅広い分野への提供を目指す。

加えて、全国に広範な拠点網と顧客基盤を有する西尾レントオールとの協業を通じて、社会実装の加速も狙う。

従来の物理的な対策や巡回による人的対応には、コストと即応性の両面で限界があったため、DMPは2025年6月、西尾レントオールと協業し、独自のLLM推論エンジンとビジョンAIを組み合わせた「AIスケートボーダー検知システム」を発表。同年10月に西尾レントオールを通じたレンタル提供を開始した。



併せて、25年9月にはシステムの基盤技術となっている行動認識AIプラットフォーム「Vision-LLM Insight」の本格提供を始めた。

一方で、天候、照度、人流量が刻々と変化する実際の都市空間では、開発環境や単一拠点での検証だけでは把握しきれない事象が数多く発生するため、今回の実証実験は実環境で検知性能と運用安定性を確かめることを目的として行った。

■実証実験の概要
実証場所:グラングリーン大阪の一部エリア(大阪市北区)
実証期間:2026 年 1~4月(今回の実証結果を踏まえ、現在も継続実施中)
検証テーマ:監視カメラ映像を用いたスケートボード滑走行為の検知および抑止
実施体制:うめきた2期地区等スマートシティ形成協議会(スマートシティ実装化支援事業の全体統括)/西尾レントオール(実証主体・現地運用)/DMP(検知システムの開発・チューニング)/一般社団法人うめきた MMO(実施調整協力)

実証実験では園内に設置した監視カメラの映像をクラウドへ送信し、クラウド上のLLMが行動の意味・文脈を解釈して滑走行為をリアルタイムに判定。検知時には、現地スピーカーからの警告音声再生と、静止画・動画を添付した電子メールによる管理者への自動通知を行っている。

稼働当初は、路面に落ちる影を人物と誤認する誤検知が課題となった。DMPは検知ロジックの改善を複数回にわたり実施するとともに、生成AIによる二段階判定(ダブルチェック)の仕組みを導入し、検知精度の向上を実現した。

警告音声機能の運用開始後は、スケートボード滑走の検知件数が今年2月の71件から3月は55件、4月にはゼロへ減少し、高い抑止効果が見られた。



夜間照明に起因する誤検知についても、ロジック改善前の63日間で20件だったのに対し、改善後の22日間では3件(1日当たり約0.32件から約0.14件)まで減少している。

・検知精度:41.8% → 83.5%(2026年4月末時点)
・スケートボード滑走の検知件数:71 件(2 月)→ 55 件(3 月)→ 0 件(4 月)
・夜間の誤検知件数:20 件/63 日間 → 3 件/22 日間

影や夜間照明に起因する誤検知パターンを体系的に収集し、ロジック改善を重ねたことで、検知精度と実運用における安定性の双方を大きく高めることができたと解説。公共空間運営における具体的な課題解決に寄与するとともに、DMPにとっても実環境での技術検証と製品改良の貴重な機会になったと説明している。

(藤原秀行)

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