既存ネットワークを活用、迅速かつ確実な支援の実現図る
地方紙の岩手日報社(盛岡市)は10月30日、岩手県、県内93の新聞販売店で構成する岩手日報会(盛岡市)の両者と、11月5日の「世界津波の日」に合わせて、大規模災害時における被災地支援を目的とした協定を締結すると発表した。
2011年3月11日の東日本大震災で未曾有の地震・津波災害を経験した岩手県で、その教訓を活かし、近年全国各地で多発する大規模地震で課題となっている支援物資の「目詰まり」の解消の一助になることを目指して、円滑な被災地支援実現のため、岩手県内最大級の新聞輸送・配達の民間インフラを防災ネットワークへ転用する取り組みをスタートさせる。
岩手県は面積が1万5275㎢に上り、東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県の首都圏1都3県の合計(1万3570㎢)を上回る広さを備える。災害時に「物流の寸断」と「情報の断絶・錯綜」が同時に発生するリスクがあり、広域での確実な物資輸送と情報伝達の確保が急務となっている。
協定は、岩手日報の新聞輸送網と販売店網という既存のネットワークを防災インフラとして活用することで、避難所や孤立集落への迅速かつ確実な支援を実現することを念頭に置いている。
食料、衛生用品などの緊急物資とともに、新聞や号外などの情報をセットで被災地へ配送することを想定。被災者の物資不足による「物理的不安」やデマや不正確な情報による「心理的不安」の軽減につなげたい考え。
新聞休刊日を除き毎日稼働し、岩手県内19コースを運行する新聞輸送トラック19台と、全県を網羅する93の販売店、約2000人の従業員という機動力を駆使し、地域の道路事情を熟知した販売店スタッフが、避難所や孤立集落へのきめ細かな配送を行う予定。
既存の朝刊定期便の空きスペースや、新聞を各販売店に輸送した後の「帰り便」を活用する余力活用型モデルのため、新たな物流インフラや拠点を構築・維持するための整備費は不要という。
2026年は岩手県政150年と岩手日報創刊150年の節目を迎えている。岩手日報は東日本大震災の痛ましい経験から得た教訓を胸に、平時のリソース(経営資源)を有事の強靭な防災力へと転換する本協定を通じ、岩手独自の防災レジリエンス(回復力)強化と持続可能な地域社会の実現を目指したいと強調している。
(藤原秀行)








