【新型ウイルス】コロナ長期化でEC利用例年並みの場合、東京圏の物流施設空室率は2年後に3倍の水準へ上昇

【新型ウイルス】コロナ長期化でEC利用例年並みの場合、東京圏の物流施設空室率は2年後に3倍の水準へ上昇

一五不動産情報サービスが予測、「需給悪化には至りにくい」と前向き

工業用不動産に特化した不動産調査を手掛ける一五不動産情報サービス(東京)は5月8日、新型コロナウイルスの感染拡大や外出自粛によるeコマースの利用増加が東京圏の賃貸物流施設市場に及ぼす影響を予測したリポートを取りまとめた。

コロナの感染状況とeコマースの伸びを考慮し、全部で4パターンのシナリオを提示。コロナ禍が早期に収束し、eコマースの利用が大きく伸びるという最も楽観的なシナリオの場合、空室率は今年1月末の1・9%から一時期は3%程度まで上昇するものの、2年後の2022年1月には1・8%とほぼ横ばいの水準に収まると予想している。

一方、コロナ禍が長期化し、eコマース利用も例年並みにとどまるという最も悲観的なシナリオでは空室率の上昇が続き、22年1月には約3倍の5・6%まで達すると展望している。

ただ、同社は「需給バランスは逼迫から均衡に向かう程度で、このケースでも需給悪化には至りにくいと判断している」と前向きな見方を示している。

最も楽観的なシナリオでは21年の新規需要が約350万平方メートル

リポートは東京、神奈川、千葉、埼玉、茨城の1都4県で延べ床面積か敷地面積が1万平方メートル以上の賃貸物流施設430棟を対象に調査した。

いずれのシナリオでも、物流施設の新規供給が20年は200万平方メートル超、21年は300万平方メートル超と設定。その上で、最も楽観的なシナリオの場合は新規需要が20年は200万平方メートル弱、21年は約350万平方メートルに達し、需給が逼迫する状況が見られるとみている。

一方、最も悲観的なシナリオでは、新規需要は20年が180万平方メートル程度、21年は280万平方メートル程度でいずれも需要が供給を下回ると予想している。

21年1月末の空室率予想は、コロナ禍が早期に収束するがeコマースは例年並みだった場合が3・1%、コロナ禍は長期化するがeコマースの伸びが大きい場合が4・1%とはじいている。

(藤原秀行)

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