【独自取材、新型ウイルス】帝国データの4月企業景況感、運輸・倉庫業は10年9カ月ぶりの低水準

【独自取材、新型ウイルス】帝国データの4月企業景況感、運輸・倉庫業は10年9カ月ぶりの低水準

コロナ拡大でさらに悪化、リーマンショック後並みに

帝国データバンク(TDB)が5月8日発表した2020年4月の景気動向調査(全国)によると、景況感を示す業種別の景気DIは「運輸・倉庫」で22・4となり、前回3月時から5・3ポイントと大幅に下がった。5カ月連続の低下となり、景況感の分かれ目となる50から一段と遠ざかった。

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DIの水準は直近でリーマンショックによる経済情勢悪化から立ち直る過程にあった09年7月(22・1)以来、10年9カ月ぶりの低さとなり、新型コロナウイルスの感染拡大で業界の景況感悪化が急速に進んでいることをあらためて裏付けた。

全業種ベースで見ても、4月の景気DIは6・5ポイント減の25・8となり、7カ月連続して前回調査から低下。3月に続いて過去最大の下落幅を記録した。特に「旅館・ホテル」(1・5)、「飲食店」(4・3)、「娯楽サービス」(5・6)の3業種は一桁台にまで悪化し、新型コロナウイルスの感染拡大が業績を直撃していることを鮮明に示した。

TDBは先行きに関し「新型コロナウイルスの収束など不確実性が強く、景気後退が続くと見込まれる」と展望している。

運輸・倉庫業のコメントを見ると、先行きに関して「当初の状況より鎮静化が長引く予想もあり、また物量が戻ってくるまでかなり時間がかかると予測」(港湾運送)、「新型コロナウイルスによる荷動きの低迷が続く見込み」(運送取次)、「鋼材の輸送について、内航船は空の状態で陸上も同様。大手建設も休業しており先行きが見えない」(一般貨物自動車運送)といった厳しい見方が出ていた。

調査は4月16~30日にインターネット経由で実施、全国の1万1961社が有効回答を寄せた。回答率は50・5%だった。運輸・倉庫業は517社が調査に協力した。

(藤原秀行)

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