日本GLP・帖佐社長、立地自治体との災害時協力拡大に前向き

日本GLP・帖佐社長、立地自治体との災害時協力拡大に前向き

物流施設を積極活用、免震重視方針は不変と強調

 日本GLPの帖佐義之社長は11月7日、茨城県五霞町で開発を続けていたマルチテナント型物流施設「GLP圏央五霞」が完成したのに伴い、現地で記者会見した。

 同社長は地元の五霞町と水害時に新施設で一時避難者を受け入れることで合意したのに関連し、今後も同様の災害時協定をさまざまな自治体と締結していくことに前向きな姿勢を示した。

 帖佐社長は「東日本大震災であらためて物流施設が災害(からの避難や復旧)に果たす役割を強く認識し、地域の方々との協力体制構築に取り組んできた」と説明。

 「(避難に使える)ランプウェーなど物流施設の特性を生かしていけば地域の災害対策に取り組んでおられる方々のお役に立てるのではないかと考えている。(協定は)喜んで広めていきたい」と強調した。

 また、「物流施設の役割が保管から始まり、流通加工、そして今や製造工程にまで広がっている。『物流施設』という言葉自体、建物の性質を表す言葉としてはそろそろ不都合になってくるのではないかと感じているくらいだ」と持論を展開。

 「業務の拡大に伴い、物流施設の効果は雇用創出に加えてさまざまな産業誘致や地元でのにぎわい創出といったことにも広がっていくのではないか。今回の五霞のような大型物件を今後も供給することで地域貢献を果たしていきたい」と力説した。

茨城での新規開発の可能性に言及

 帖佐社長は今後の施設開発について「当社は関東で64施設を運営しているが、初めて茨城で足跡を残すことができた。圏央道の開通でインフラ整備が進み、茨城が持つ物流施設適地としての魅力がますます大きくなっている」と指摘。

 「今回限りということは全く考えておらず、事業機会があれば積極的に展開していきたい」と語り、茨城県での施設開発の可能性に言及した。

 物流施設などに用いられている免震・制振用オイルダンパーの性能検査データ改ざんが相次ぎ発覚したことに対しては「われわれも1件、リートで該当する施設があり、詳細はまだ調整している段階だが、免震技術そのものの信頼が揺らぐものではないと思っている」と説明。

 「何度かの地震を経験して、いかに免震、制振機能が充実している施設が安全か身をもって経験しているので、今回の問題で何か考え方を変えることは全くない」と明言し、物流施設の機能として免震・制振を重視する方針は堅持することを強く訴えた。

 会見に同席した五霞町の染谷森雄町長は「世界的に事業展開されているGLPさんがわが町に来られたのは本当に名誉なこと。広告になっていただける企業であり建物だ。イメージアップの効果も期待している」と施設の完成を歓迎。定住促進などにもつなげていきたいとの思いを語った。

 入居を決めたニトリホールディングスの物流子会社ホームロジスティクスの柳川弘之執行役員営業本部ゼネラルマネジャーは、インテリア部門の商材をセンターに在庫し、東日本全域の約220店舗に供給していく方針を解説。「最近は物流施設の環境が良くないとなかなか人が集まらない。カフェテリアの設置など女性も働きやすい環境となっている点に注目している」と新施設の労働力確保に期待を寄せた。

(藤原秀行)


会見後に握手する(左から)染谷町長、帖佐社長、柳川執行役員

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