JLL調査、4~6月空室率は0・9%と依然低水準
JLL(ジョーンズ ラング ラサール)が8月26日発表した2021年第2四半期(4~6月)の東京圏における物流施設市場動向の調査結果によると、賃貸施設の期末平均空室率は0・9%で、前期(21年第1四半期、1~3月)から0・1ポイント低下した。前年同期比では0・2ポイント上昇した。
7四半期連続して1%を割り込んでおり、湾岸エリアを中心に空室が極めて少ない状態が続いている。新型コロナウイルスの感染拡大でも先進的な物流施設への需要は引き続き旺盛とみられる。
4~6月期の新規供給量は6棟、54万9000平方メートルで、ストックは前期比4%、前年同期比では12%拡大した。需要に関しては4~6月期のネットアブゾープション(純増分)が55万5000平方メートルに及び、21年上半期では78万9000平方メートルとなった。
期末の坪当たり平均月額賃料(共益費含む)は4403円で、前期から0・2%、前年同期からも1・1%上昇した。前期比で3四半期続けて上がった。
JLLは今後の賃貸物流施設市場に関し「需要は堅調と予想されることから、賃料は比較的、安定して推移する見通し。ただし、過去最高の新規供給量を鑑みると、一部の内陸エリアでは賃料は横ばいで推移するとみられる」と展望している。
調査は東京、神奈川、千葉、埼玉の各都道府県と茨城県の南西部が対象。2000年以降に完成した延べ床面積5万平方メートル以上の先進的物流施設の稼働状況を集計した。
エリア別の空室率は、東京湾岸の「ベイエリア」(東京・大田区、江東区、横浜市、千葉県市川市など)が前期と同じ0・0%で、空室がない状態が継続。「内陸エリア」(東京都八王子市、神奈川県厚木市、千葉県柏市、埼玉県川島町など)は0・1ポイント下がって1・3%だった。
ロジスティクス(物流施設)への投資総額は前年同期比66・1%減の368億円、21年上半期は69・7%減の1442億円だった。JLLは投資市場について「投資家の関心の高さを背景に、投資利回りは一層の低下余地があるとみられ、価格はこれを反映して緩やかに上昇する見通し」との見方を示している。
(藤原秀行)