OKI、AIルート配送最適化プログラムで熟練社員の技量反映させ精度向上実現

OKI、AIルート配送最適化プログラムで熟練社員の技量反映させ精度向上実現

高速道路料金の最小化も考慮可能に、23年度のサービス提供開始目指す

沖電気工業(OKI)は10月31日、開発を進めている、AI技術を活用してトラック運送の最適なルート配送計画作成を支援するプログラム「コスト最小型ルート配送最適化AI」に関し、燃料費などのコスト削減効果をより高めるための新たな機能を開発したと発表した。

プログラムは、1つの配送先に複数台のトラックで分けて荷物を届けることで、1つのトラックで1つの配送先に輸送するより積載率向上やルート短縮を実現する「分割配送」が対象。小売業などでの活用を見込んでいる。21年11月から関西を地盤とする運送事業者のロンコ・ジャパン(大阪市)と組み、実際の配送業務にプログラムを活用、実証を重ね、今年6月には本格的に現場でプログラムの稼働を開始した。

商用化に向けルート組みの精度を高めるため、ロンコ・ジャパンの熟練社員の配車技量をAIに学習させ、あらかじめ渋滞が起きやすいルートは除外できるようにするなどの機能を持たせた。併せて、従来の燃料費に加え、高速道路料金も最小化するルートを計算できるよう機能を拡充。実証の結果、プログラムを使わない場合と比べ、年間でコスト削減効果は約700万円に達した。高速道路料金を新たに加味することで、削減効果は以前の2倍に拡大したという。

このほか、荷物を必要以上に細かく分けてトラックに積み込み、かえってルートが複雑化しないようにすることを可能にした。他にも、配送先の搬入作業時間も考慮してルート設定できるよう配慮した。

OKIは経験の浅い社員でもプログラムを使うことにより、熟練社員と同等の配車技量を得られるようになると説明。2023年度中にプログラムのサービス提供を目指している。当初はTMS(配車管理システム)にプログラムのアルゴリズムを組み入れ、OEM(相手先ブランドによる提供)の形態で提供を始めることを想定している。


ロンコ・ジャパンのトラック(OKIプレスリリースより引用)

OKIによれば、ロンコ・ジャパンの実証の中で、トラックドライバーや配車担当者から「今まで気づかなかった良いルートが見つかった」と評価する声が出ている。OKIで具体的な数値は集計していないが、トータルの配送時間短縮につながっているとの感想も聞かれるという。

その一方、渋滞が起きやすかったり、冬季は路面凍結で通行止めになったりしやすかったりと、現実的ではないルートを算出したため、配車担当者らの手直しが発生したケースもあり、アルゴリズムの改善を進めていた。

(藤原秀行)

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