富士通とセブン、飲料メーカーがAIで商品外装ダンボールの破損レベル判定基準統一化へ

富士通とセブン、飲料メーカーがAIで商品外装ダンボールの破損レベル判定基準統一化へ

24年9月末まで実証実験継続、物流課題解決への貢献も目指す


AIシステムの活用とスマートフォン画面のイメージ

富士通は6月21日、キリンビバレッジ、コカ・コーラ ボトラーズジャパン、サントリー食品インターナショナル、セブン―イレブン・ジャパンと共同で、富士通が開発したAIシステムを活用し、商品外装ダンボールの破損レベル判定の統一化に向けた共同実証実験を同日、本格的にスタートさせたと発表した。期間は2024年9月末までの1年余りを予定している。

清涼飲料業界や流通業界は商品の輸送・保管中、ダンボールに軽微な擦れやしわ、膨れなどが見られた場合、中身の品質に関わらず、ダンボールの外観状態で納品可否の判断を各社の倉庫ごとに目視で行っている。納品可否の判断は、飲料メーカー・流通業ともに共通の基準が無く、判断にばらつきが生じている。

そのため、中身の品質には問題のない商品の返品・廃棄が発生、食品ロスが課題となっている。

共同実証実験はばらつきが生じていた納品可否の判断を、業界の自主的団体「飲料配送研究会」の基準を使用した富士通のAIシステムにより客観的に判定する仕組みを飲料メーカー・流通業が共有。製造・配送・販売を担う各社で破損レベル判定の統一化を目指す。他の企業にも参加を呼び掛ける。

軽微な外装破損商品は流通させることで、商品廃棄を抑制し、食品ロスを削減するとともに、荷受け時の検品時間や倉庫での返品作業を軽減することで、清涼飲料業界や流通業界が抱える物流課題の改善にも貢献していくことを目指す。

共同実証実験の概要
対象商品:清涼飲料水
実施期間:2023年6月21日から2024年9月末まで(予定)
実施範囲:各社複数倉庫で実施
今回、第1ステップとして5社で実証実験を開始するが、今後多くの製造・配送・販売に関わる企業に本取り組みへの参画を呼び掛け、実証実験の範囲を拡大していくことで、AI精度の向上と判定基準の業界標準化を実現し、食品ロスの削減および物流課題の改善を目指す


システム構成イメージ


AIロジックの概要(いずれもプレスリリースより引用)

(藤原秀行)

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