日本郵船とTBグローバルテクノが日本初、船舶間でアンモニア燃料を安全供給可能な設備開発へ

日本郵船とTBグローバルテクノが日本初、船舶間でアンモニア燃料を安全供給可能な設備開発へ

海運の脱炭素化促進目指す

日本郵船は8月17日、原油や液化天然ガス(LNG)などの液体の荷役機器製造で国内シェアトップのTBグローバルテクノロジーズ(TBG)と、液体を船舶間で供給するための装置「バンカリングブーム」を、日本で初めてアンモニア燃料向けに共同開発する基本合意書を8月16日付で締結したと発表した。

液体の漏洩を確実に防ぐTBGの技術を採用することで、燃焼してもCO2を排出せず海運領域の脱炭素化への貢献が期待される一方、毒性の高いアンモニアを船舶に供給する際の安全性を大きく高められると期待している。

日本郵船は昨年9月、一般財団法人日本海事協会(ClassNK)から基本設計承認(Approval in Principle、AiP)を取得したアンモニア燃料供給船(Ammonia Bunkering Vessel, ABV)の開発に関するデータや、関連会社のセントラルLNGマリンフューエルが運航している国内初のLNG燃料供給船「かぐや」から得られた知見などをTBGに提供する。

バンカリングブームは鋼管とホースで構成。燃料供給船から船舶に接続して燃料を供給する。鋼管のため耐久性が高く、スイベルジョイントと呼ばれる関節部を駆使して自在に方向を変えられるので操作が容易で、LNG燃料船への燃料供給で既に実用化を果たしている。

今回の開発では、自然災害などにより船舶からバンカリングブームを緊急に切り離す際、中の液体が外に漏れることを防ぐTBGの技術を採用して、アンモニア燃料供給の最大の課題となっている漏洩対策の実現を図る。


アンモニア用バンカリングブームの3Dモデル(いずれも日本郵船提供)

日本郵船は次世代燃料開発などのグリーンビジネスを通じた、低・脱炭素に向けた新しい価値創造の取り組みを対象としたESGブランド「NYK GREEN EARTH」を展開しており、今回の取り組みもその一環と位置付けている。

(藤原秀行)

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