大同生命保険調査、懸念は売上・利益の減少がトップ
大同生命保険は3月26日、全国の中小企業経営者を対象とした建設業・運輸業の「2024年問題」の影響に関するアンケート調査結果を公表した。
経営にマイナスの影響があると答えた割合(「どちらかといえばある」と「大きくある」の合計)は全業種平均で33%に達した。業種別では直接経営への影響が見込まれる「運輸業」が59%で最も多かった。「建設業」は39%だった。
具体的にどのような影響があるかを選んでもらったところ、運輸業は「売上・利益の減少」が50%でトップ。「従業員の収入の減少」(49%)、「長時間勤務の見直し・廃止」(43%)、「配送方法や納期などの見直し」(41%)、「収入減少による従業員の離職懸念」(37%)などと続いた。「特に影響はない」は18%だった。
調査は2015年10月以降、テーマを設定して毎月実施している。今回は2月、7295社を対象に実施した。
マイナスの影響については6874社が回答。「ほとんど影響はない」が56%、「どちらかといえばマイナスの影響がある」が27%、「大きなマイナスの影響がある」が6%だった。
「大きなプラスの影響がある」は1%、「どちらかといえばプラスの影響がある」は2%にとどまった。「わからない」は8%だった。
運輸業(362社)は「ほとんど影響がない」が27%にとどまった一方、「どちらかといえばマイナスの影響がある」が35%、「大きなマイナスの影響がある」が24%といずれも全業種中最も多かった。
「どちらかといえばマイナスの影響がある」は他の業種では卸売業(667社)が34%で運輸業に次いで2番目に多かった。「製造業」(1288社)は30%、「宿泊・飲食サービス業」(141社)は26%、「小売業」(763社)は24%だった。
「大きなマイナスの影響がある」は「教育・学習支援業」が9%で2番目に多かったが、2桁の割合に達したのは運輸業だけだった。
運輸業経営者から「売上が減少し、労務管理の手間も増えるので、何も良いことがない」(東北)、「荷待ちでの時間ロス削減など荷主の協力がないと、自社の経営努力だけでは限界がある」(南関東)、「運賃の値上げ幅が小さいため、賃上げは厳しい。業界を超えて広く荷主の協力が必要」(関西)といった声が上がった。
荷主サイドからも「従来よりも納期に遅れが生じる可能性があるので、今後は早めの納品手配を心がける必要がある」(宿泊・飲食サービス業、北海道)との懸念が聞かれた。
(藤原秀行)※いずれも大同生命保険公表資料より引用