新たな原料確保に道
J-オイルミルズは1月29日、NEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)事業の一環として、沖縄県などに自生し、食用に適さない亜熱帯植物のテリハボクとポンガミアの種子から搾油・精製した油脂を用いて、100%バイオマス由来の環境負荷が低い航空燃料SAF(ニートSAF)の生成に成功したと発表した。
このニートSAFは国際品質規格「ASTM D7566 Annex A2」に適合している。SAFへの活用が進んでいる廃食用油は供給に不安があるため、新たな原料を確保し、SAFの利用拡大につなげていきたい考え。
テリハボクとポンガミアの種子からニートSAFを生成するイメージ(プレスリリースより引用)
日本では政府が2030年にジェット燃料使用量の10%に相当する172万kL相当をSAFに代替する目標を打ち出している。ただ、燃料用途に用いられる日本の廃食用油は最大でも年間13万t(約14万kL)にとどまっており、30年に向けては新たな油脂原料の開拓が必要となっている。
J-オイルミルズは、沖縄県管理道路の街路樹から落下したテリハボクとポンガミアの種子を用いて、当該植物に適した搾油・精製工程を開発。外部発注による水素化・異性化・蒸留の工程を経て、ニートSAFの生成にこぎ着けた。
テリハボクとポンガミアは日本では沖縄県、海外では東南アジアなどに分布する亜熱帯植物で、沖縄では主に街路樹や防風林として使われている。テリハボクはその胚珠中の油分が40~50%、ポンガミアは30~40%と多く、乾燥地や塩分濃度の高い土地など農地に適さない土地でも栽培できるのが強み。
さらに、食料用の農地との競合が少ないことや、どちらも一般的に食用には適さないことから、食と競合しない新たなSAF原料としての活用が期待される。
今後は燃料としての品質に加え、環境認証のCORSIA適格燃料登録を目指し、SAF化技術を持つ石油精製事業者などとの連携を進めるとともに、栽培実証試験などを通した原料供給量拡大への取り組みを継続する。
(藤原秀行)