【現地取材】NECの共同輸配送実現プラットフォーム、26年度に利用70社まで拡大目指す

【現地取材】NECの共同輸配送実現プラットフォーム、26年度に利用70社まで拡大目指す

走行ルートを全国に拡大、モーダルシフトやエリア配送にも対応を構想

NECは3月25日、東京都内の本社で、ロジスティクス領域で取り組んでいる顧客の業務効率化支援の現状を報告するメディア向け発表会を開催した。

共同輸配送の実現に協力するプラットフォーム提供サービスを2024年9月にスタートし、普及に注力していることを紹介。適切な共同輸配送の相手を選択、具体的な輸配送の計画を策定し参加企業間の情報共有促進まで手掛けていることをアピールした。

 
 

共同輸配送を希望する企業が情報交換できるコミュニティに参加している人数は2024年度で約20人、プラットフォームの利用企業は約10社に達しており、NECとしてはそれぞれ26年度に約140人、約70社まで増やすとともに、共同輸配送の走行ルートを東北や九州、北海道を含む全国に広げていきたいとの考えを示した。併せて、26年度にはモーダルシフトやエリア配送にも対応していく構想を明らかにした。

NECエンタープライズビジネスユニットスマートILM統括部の大久保聡ディレクターは「物流業界は製造、小売などさまざまな業種と関連しているため、DXで最適化すれば大きな価値を生み出すことができる」と指摘、共同輸配送プラットフォームを進める意義を強調した。


(NEC資料より引用)


NEC・大久保氏

NECの共同輸配送プラットフォーム提供サービスは、事業内容が異なる企業間で調整できるようサポート。連携先の候補企業選定、対象ルートの選定、実際のオペレーションと全体にわたってデジタル化することで、共同輸配送プラットフォームの運営を容易にできると訴えている。

共同輸配送プラットフォームを実際に使っているケースとして、横河電機と三井倉庫サプライチェーンソリューション(SCS)の取り組みに言及。従来は横河電機が東京都武蔵野市から三重エリアへ制御装置などを、三井倉庫SCSが東京都大田区から名古屋市へ半導体トレーなどをそれぞれ自社で輸送してきた。NECが両社のルート情報を踏まえ、東京エリア~愛知・三重ルートを抽出し、この区間で共同輸送を実現した結果、横河電機側で積載率が1割向上するなどの成果を得たという。

 
 

また、三井倉庫SCSと日通NECロジスティクスの共同輸送の案件も紹介。三井倉庫SCSの家電などと日通NECロジのIT機器などを対象に、東京~愛知間で実施した。

NECエンタープライズビジネスユニットスマートILM統括部の梅田陽介主任は「ドライバー不足は5年後、10年後にはますます深刻化する。旧来と同じ考えでは物流網の維持が困難になる。その解決策の1つが共同輸配送による輸送リソースの有効活用」と訴えた。


NEC・梅田氏

発表会では、加えて、ダブル連結トラックを使った長距離輸送効率化を進めているNEXT Logistics Japan(NLJ)と24年から続けている提携の内容に言及。共同輸配送プラットフォームと、NLJが展開しているAIを活用した混載荷物の最適な積み付け方を自動算出するサービス「NeLOSS(ネロス)」を組み合わせ、共同配送の積載率向上などを図ることを構想しており、テスト実証では55%から85%に高められたという。

NECモビリティソリューション統括部の中緒祐紀主任は「共同輸配送は日々の変更にも柔軟に対応し、確実に運ぶことが求められる。共同輸配送を当たり前とする仕組みづくりや市場づくりに取り組みたい」と語った。

同席したNLJの柳拓也NeLOSS事業本部長は「(NECのように)同じ志を持ったベンダーさんと連携する点に意味がある」と述べ、NECとの連携による共同輸配送の積載率向上に自信を見せた。

 
 


NEC・中緒氏


NLJ・柳氏

このほか、NECが24年に開発した、生成AIを駆使して輸出入する品物のHS(輸出入統計品目番号)を正確に特定できるシステムもあらためて公表した。NEC エンタープライズビジネスユニットスマートILM統括部の須賀宏平主任は「通関の処理件数は増加している一方、通関士が減少しておりデジタル化を図らなくてはならない分野。AI税番判定サポートの提供により、通関業務をトータルで支援できる」と話した。


NEC・須賀氏

(安藤照乃、藤原秀行)

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