規制対象に運送委託追加など盛り込んだ改正下請法と改正下請中業企業法が成立、26年1月1日施行へ

規制対象に運送委託追加など盛り込んだ改正下請法と改正下請中業企業法が成立、26年1月1日施行へ

一方的な代金設定禁止も、中小の賃上げ促進狙い

受注側企業がコスト上昇分を代金により適切に価格転嫁できるよう発注側企業への規制を強めることや、規制対象となる取引に発荷主が商品の引き渡しに必要な運送を委託する場合を追加し運送業の保護を強化することなどを柱とした改正下請法と改正下請中小企業振興法が5月16日、参議院本会議で可決、成立した。

中小企業の価格転嫁を後押しし、賃上げにつなげていく流れを整備するのが狙い。いずれも2026年1月1日付で施行する予定。

 
 

改正下請法は対象となる取引で、発注側が受注側に対し、代金の見直しに関する協議に応じなかったり、協議の場で必要な情報を提供しなかったりして、一方的に代金を決めることを禁じ、価格交渉を確実に実施するよう求める。

併せて、手形で代金を支払うことを禁じるほか、他の手段であっても受注側が支払い期日までに代金の相当額を受け取るのが困難なやり方を使うことも禁止する。

加えて、規制対象となる取引は現在、発注側と下請けの事業者の資本金を基準としているが、新たに従業員数も加える。取引先に増資を迫って下請法の適用を逃れる事例があることなどから、規制を見直す。

改正下請中小企業振興法は、価格転嫁や取引適正化の取り組みが不十分な発注側企業に対し、従来の中小企業庁長官に加え、各事業分野の所管大臣も指導や助言を行えるよう権限を拡大。国土交通省の「トラック・物流Gメン」の実態調査などで判明した問題も対象に加わる。

両法は改正に際し、「下請け」の用語を見直し、「下請事業者」を「中小受託事業者」、「親事業者」を「委託事業者」に変更する。法律の名称も下請けの表記をなくし、発注側と受注側で上下関係があるような印象を与えるのを解消する。

(藤原秀行)

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