「トラックより安く、AMRより速く、屋外対応」目指す、協業や実験のパートナー募集開始
自動搬送システムの開発を手掛けるドイツのスタートアップecoro(エコロ)は6月8日、横浜市に日本法人を設立したと発表した。
屋外環境における積み込み・搬送・荷降ろしを一体で自動化する物流システムを日本で本格的に展開することを目指す。
物流の“建屋間搬送”という自動化の空白領域に対し、空港・物流施設・工場を対象に、日本国内での実証実験・導入を推進するとともに、協業パートナー・実装実験パートナーの募集を開始する。

ecoroは、既存の自動搬送システムは屋内環境での運用を前提としたものが多く、屋外走行性能や積み降ろし工程の自動化、さらには建屋間・施設間の短距離搬送は、なお技術的な発展余地が残されていると指摘。
倉庫、工場、空港などの広大な敷地内で発生する搬送業務は人手依存が大きく、省人化・効率化の余地が大きいとみている。
ecoroは「トラックより安く、AMRより速く、屋外対応」を掲げ、既存施設の大規模改修や多額の初期投資を必要とせず、現場に即した形で自動化を実現できる物流ソリューションとして、日本市場への本格展開を決めた。
日本では国土交通省が「自動物流道路」の構想実現に向けた取り組みを推進しており、ecoro創業当初からのビジョンを実現する上でも、日本は極めて重要な市場であると位置付けている。

ecoroの完全自動屋外貨物モビリティシステムは、電動シャトル、専用搬送レーン、制御ソフトウェア、自動積載ターミナルを組み合わせた統合型の仕組みを採用しており、これまで分断されがちだった物流工程を、1つのシステムとしてつなぐことを念頭に置いている。
車両側に過剰な機能を集中させるのではなく、インフラ側との役割分担を最適化することで、車両1台当たりのコストを従来型の自律走行システムと比べて約8分の1に抑えることを目標に掲げている。実現できれば、既存のフォークリフトやトラックを用いた手動搬送と比較して、運行コストを66〜80%削減できる可能性があるとみている。

空港では、旅客ターミナルと貨物施設の間、あるいは関連施設間の自律搬送に対応し、構内物流の省人化と効率化を支援することを想定。
物流施設や倉庫では、施設間の短距離搬送や建屋間輸送の自動化により、日常的に発生する反復業務の負担軽減を図る。
また、製造業の工場や複数建屋を持つ事業所では、構内搬送の自動化を通じて、安定した部材供給や工程間物流の最適化に寄与できると見込む。
加えて、ecoroは国土交通省の自動物流道路構想関連のコンソーシアムにも、唯一の海外企業として参画しており、製品導入にとどまらず、日本の次世代物流インフラ形成への貢献も視野に入れている。
ecoroは2026年には、日本、ドイツ、サウジアラビアを含む複数地域で有償PoC(概念実証)を予定しており、ドイツ企業との事前受注契約の締結や、サウジアラビア王室委員会とのMoU(基本合意)締結も進めている。
EU(欧州連合)では、Virtual Dedicated Logistics Lanes for Logistics(ViDeLL)プロジェクトの一環として補助金採択を受けるなど、物流インフラの高度化に向けた研究・実装の両面で実績を積み重ねているという。

将来は日本発のブランドとしてアジア市場への展開も視野に入れている。

(藤原秀行)※いずれもecoro提供









